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部屋にいる三兄弟を呼んでこいと言うと、ロックオンが嫌そうな顔をしたが、あえて無視をしておいた。これから家に住まわしていやるのだ。しかも無料で。だから、このくらいはやってもらわなければ。
ティエリアの中では、すでにあの旅人四人は客ではなく、便利な使用人もどきへと存在を変えていた。
普通に出て行く刹那と、渋々ながらも出て行くロックオンを見送ってから、ハレルヤの頭を軽く蹴りつけた。
「起きているのだろう?寝たふりは止めてもらう。生憎、同じ手口に連続して引っかかる気はない。そのくらいは分かっているだろう」
「そりゃまぁな……てーか、ボールみてぇに簡単に、ヒトの頭を蹴るんじゃねぇよッ!」
「いつまでも倒れている方が悪い」
がおうと咆える彼の言葉をさらりと流し、立ち上がるのを黙って待っておいてやる。本当は、見下ろされるから嫌だけど。
「テメェの態度はもう、何も言わねぇとして……いいのかよ?」
「何がだ?」
「イレギュラーが増えすぎだ」
近くから椅子を引っ張ってきて、ハレルヤはそれに腰掛けた。
彼の頭が、自分よりも低いところに来る。つまり、自分が彼を見下ろす形になったということだ。
見下ろすのも嫌だ。見上げるにしろ、見下ろすにしろ、相手の顔がきちんと見えない。相手の思いを汲み取ることが、酷く困難になる。
もう、気持ちに気づかなかったが故のミスはごめんだ。
「俺たちと深く関わりそうなヤツが多すぎる。リスクが大きすぎるんじゃねぇのか?一人だけならまだしも、一気に四人も……」
「強い刺激の方が、変わる可能性がある」
言うと、ハレルヤは口をつくんだ。
彼とて……分かっているのだろう。このままではいけないということを。
過去は、乗り越えるべき物だということを。
ふっと瞳を閉じれば、黒衣の少年の姿が浮かんでくる。
それから……最も大切に思っている、もう一人の居候の姿も。