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ミッションを終えて。
ティエリアとアレルヤ。
06.スペシャルサンクス
いつも通り紛争に介入し、敵を蹴散らして待機場所へと帰還すると、そこには同時刻の別の場所での介入を行っていた同僚の姿があった。自分よりも早く終わったらしい。
彼はティエリアの姿を目にとめると、にこりと微笑みを浮かべた。
「ミッションお疲れ様。どうだった?」
「わらわらと寄ってきて鬱陶しかったな」
「…それは仕方ないよ。どの陣営も、ガンダムを欲しがってるからね」
僕の所でもそんな感じだったな、とアレルヤは笑う。
それを一瞥してからソファーにドサリ、と倒れ込むと、とたんに彼の表情が変わり、心配の感情が色濃く出る。
「今回載って、そんなに大変だった……?」
「違う。昨日と今日とで立て続けだったからな……疲れた」
言いながら、瞳を閉じる。
それは事実だった。そのせいで睡眠時間も充分取れたとは言い難く、こうやって少しでも体力を回復したいと思ったのだ。大して効果があるものではないだろうが、やらないよりは確実にマシというものだろう。
じっくりと惰眠をむさぼるのも、たまにはいいかもしれないが。しかし、これから一時間後には軌道エレベーターで宇宙に戻らなければいけない。一度熟睡してしまったら、もう一度起きれる自信はない。たとえ、アレルヤに起こしてもらうにしても……不安がのこるというか。
そんなことを思い、ふと、どうして自分はこんなに無防備なのかと不思議さを覚えた。他の二人のマイスターとだったら、ここまで寛げるかどうか。……気にせずマイペースであろうことは自身のことなので容易に想像が付くが、そういうの気を抜いていられるかとは別問題である。
あるいは、これはアレルヤ特有の和やかな雰囲気のせいだろうか。ロックオンは馴染みやすいが彼のものとは当然、雰囲気は違う。刹那の纏っている物に至っては、のんびりとしようなどと思えない。
なるほど……こう思えば案外、納得できる。
「ティエリア……寝るのかい?」
「いや、横になるだけだ。起きれなくなっても困る」
「……あぁ、そっか。君は宇宙に戻るんだっけ」
このまま地上待機を続ける彼は、どうやらその事実を忘れていたらしい。
え?何、ハレルヤ。眼鏡がいなくなって清々する?……そんなこと言ったらダメだよ。ていうか、ティエリアの名前は眼鏡じゃないって……これで充分?酷いね……それ、バレたら怒られるよ?
瞳を開き、身の内にいる片割れとの会話を開始してしまった彼を眺めながら、ゆっくりと身を起こす。ちらりと視界の端に映った物に興味を持ったのだ。
キチンと目を向けてみれば、アレルヤが持っているソレはカップ。二つあると言うことは、つまりは片方は自分の物なのだろう。今現在、ここにいるのはティエリアと彼だけだ。まさか、この後ここに来る予定の刹那に、というわけでもないだろうし。淹れるとしても、まだまだ早すぎる。
「アレルヤ・ハプティズム、それは何だ?」
「え?あぁ、これ?」
指さして問えば、彼はハッと我に返った様子でこちらを見、それからカップを見た。
「ティエリア、疲れてるでしょう?けど起きてないといけないから……眠気覚ましのコーヒー。良かったらいる?」
自然な動きで隣に腰掛けながら、アレルヤはカップを片方、差し出した。
ティエリアはそれを受け取り、一口ほど口に含んだ。おいしい。少なくとも、嫌いではない味だった。
「どう?」
「悪くはないな」
この言葉がティエリア最大級の世辞だと分かっているのだろう、彼はニコリと微笑んで、よかった、と息を漏らした。
そんな同僚を見て、ポツリと呟く。
「……まぁ、礼を言ってやらないでもない」
「え?何か言った?」
「何でもない」
首をかしげた彼に、仄かに笑みを浮かべて答えた。
ティエリアが「ありがとう」と言うのはハイパーサンクス(造語?)。
だから、スペシャルサンクスは「礼を言ってやる」という、どこか上から目線でいいと思う。