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「あ」
「え…」
「……?」
いい加減、一所に止まるのに飽きたネーナは、暇を潰すために家屋の中を探索することにした。もちろん、イアンには了承を取っていない。辺りを見渡してもいなかったので、まぁ、とれなくても仕方がないだろうと勝手に判断した。
HAROを引き連れて廊下を歩いていると、ふいに話し声が聞こえたので覗いてみたら……昨日アーデ邸のことを教えてくれた丸っこいのを引き連れていた少女と、いつの間にか『狩人』のくせに『異端』と仲良くなっていた男、それからその男の膝を枕にして熟睡している青年。
「えっと……どういう状況?」
「人に訊く前に、自分から言え……俺だって、何でお前がここにいるのかわからん」
「私はここに住んでる人に呼ばれたの。そっちは?」
「俺はアレルヤに付いてきたんだよ」
つまり、自分も彼も成り行きかららしい。
昨日来たばかりの自分たちだ、そうでもないとこんなところに来る理由も動機も無いだろう。そう納得して後、ふと、ロックオンの首筋に歯形があるのに気づく。
何?と考えて思い出す。そういえば彼は吸血鬼だった。
「ね、それって噛まれたの?」
「ん?あぁ、これか?そうだが…なんだ?気になるのか?」
「別にぃ?単に好奇心が湧いただけ」
「……それが、気になるって事じゃないのかな…」
ピンクの髪の少女がポツンと呟く。
……その通りなだけに、下手に反論が出来ない。
「うっ……ま、まぁ、それはともかく…」
「あ……逃げた…」
「うるさいなぁっ!いいじゃんか!」
「騒ぐなって。寝てるヤツが起きちまうだろ?……で?」
「えっとね……あ、そうそう!彼って、どのくらいの期間で一回の吸血がいるの?」
「……絶対、今考えたよね、その話題…」
……………いちいち痛いところを突いてくる。
いい加減、彼女の名前を知りたくなってきた。少女だとか何だとか、そういう呼び方が面倒だし。何より恐らく無意識にここまでネーナを追い詰める彼女の名前くらい、教えてもらいたかった。
で?と促すと、彼は苦笑した。
絶対にさっきの彼女の言葉のせいだろう、これは。
「一日おき、だそうだぜ?」
「………一日おき?」
が、そういうとりとめのない思考も、その言葉に止められた。
一体、どういうことだろう。あまりに頻繁すぎる。今まで旅をしてきたが、一度も聞いたことがない。
「それ……弱すぎるよ。そんなので、よく生きて来れたね…」
「…そんなに酷いのか?本人は『人間の血が流れているから』とか言ってるが」
「だとしたら、もう『異端』じゃなくて人間になってるくらい弱いよ。人間の血の方が強くなって、『異端』としての血は無くなってるくらい」
ロックオンの言葉が本当だとしたら、アレルヤはどれほど希有な存在なのだろうか。というか、どれほど力が弱いのやら。
何せ、彼女が知っている吸血鬼の中で一番弱かったのは八分の一程度しか吸血鬼の血が無く、それでも彼は一週間に一回程度の血の摂取で事足りていたのだから。
どれほど薄い血なのかと、ネーナが興味を持ったのは当然のことだった。
にしても、『狩人』の彼の知識不足…否、あの少女もか……は、どうにかならないものか。このくらい、常識だろうに。