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わりと刹那も、慣れれば正直な子なんじゃないかと。
06.正直なヤツ
ミッションを終えてトレミーに帰還した刹那は軽く欠伸をした。とても眠い。
今回のミッションを思い出して、それもまぁ、仕方がなかったかと思う。ほとんど二十四時間眠らず待機、それから五分で敵を殲滅したところで、どんどん援軍が来て、結局終了したのは戦闘開始から一時間後。ほぼ一日、ずっとエクシアのコクピット内にいたというワケだ。
別に、それは不満ではなく、むしろエクシアと一緒にいることができたのはむしろ喜ばしい……が、それでもずっと眠ってはいけない、というのはきつかった。子供扱いは嫌だが、だからといってこの体が大人の物ではないことくらい承知している。あまりに睡眠時間が短かったら、それが毒になるということくらい。
だから、早く部屋に戻って寝ようと考えていた。
「刹那、お帰り」
「…アレルヤか」
その道中、偶然……では無いだろうが、アレルヤと会った。大方、彼はミッションから帰った自分を出迎えに来たのだろう。
一緒に、と言うでもなく二人でただ、自然に隣り合って歩き出す。
「お疲れ様。大変だったでしょう?ずっと眠れないのって」
「……まぁな」
彼の言うとおりだったので、頷く。
大変だった……本当に。
ミッションの途中、眠すぎたせいで、誤って操縦を一度間違えてしまったり、援軍の中に妙にしつこいフラッグがいたり。……伸びた五十五分のうち三十分は、そのフラッグのせいで浪費されたと言っても過言ではない。むしろ控えめすぎる方だ。
改めて思い起こすと、成功率が高いプランだったのに、かなり難易度が高かった気がする。そもそも、紛争が起こる時間がどうして一日近く伸びるのか。
と、そこでアレルヤがクスリと笑った。
「刹那、今、何かをとても不満に思ってるでしょ」
「そうだが……なぜ分かった?」
口に出して言ったわけでもないのに。
首をかしげていると、彼の笑みはさらに深い物になる。
「だって……刹那、顔に出てたよ?すごく不機嫌そうだった」
「……そう、なのか…?」
「うん。もしかして、そういう顔してるって気づいてなかった?」
少し驚いた様子のアレルヤに答えず、刹那は顔をそらした。
自覚していなかった。今まで誰にも指摘されなかったから、知りようも無かったというのもあるだろうが。
これで……話しているとき、たまにロックオンがにやけることがあった原因が分かった。喋りながらも内心、刹那のことをまだまだ子供だとか、そんなふうに思っていたに違いない。今度会ったら駆逐してやろう。
ティエリアは……変わるようなことは無かったはずだ。いつも不機嫌そうで、イライラとしていて。おそらく、彼は気づいていないのだろう。
そう推測して、しかし安心は出来ないと自分を戒める。相手は至上最悪の敵(?)である。実は知っていました、などというオチがあってもおかしくはない。
「ね、刹那、今は何かに警戒していない?」
「……また、顔に出ていたか?」
「気にしなくても大丈夫だよ。付き合いが長くないと分からないと思うし」
普段の刹那は初めて会う人から見たら、ずっと無表情で感情をあまり出さない子にしか見えないよ。
そう、フォローになっているのかいないのか分からない事をアレルヤが言っている内に、いつの間にか刹那の部屋の前に来ていた。
「眠るんでしょう?刹那……おやすみ」
「あぁ」
言って、部屋に入ろうとして、そこで後ろから再びアレルヤの声がした。
「実は刹那って、結構正直だよね」
「……お前に言われたくなはいな、アレルヤ・ハプティズム」
「え?それってどういうこと?……ちょっとハレルヤ、何笑ってるのさ……教えてくれたっていいじゃないか…自分で考えろって?」
彼が片割れと言い合っているその会話を聞きながら、刹那は自室に入っていった。
多分、今、自分の顔には笑みか何かが浮かんでいる。
刹那も、嘘をつくのは上手くはなさそうな気がするんですけど。
あの五人の中で駆け引きが上手そうなのって、そもそもロックオンしかいない気がします。
アレルヤはあの性格、ティエリアは嘘は吐かずに黙るタイプな気が、刹那は不器用な感じ、そしてハレルヤは……嘘をつついて他人を騙すよりは、本当のことを行ってからその人を消すか(……アリーさん?)、だまっとくかだと思うんですよ。
嘘が吐けない=正直、というなら、マイスタのほとんどは当てはまるのかもしれません。