忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

72


72


 速かったな……と、五人が去っていった方を見て思う。逃げると決めたらしい後の行動は実に素速く、ロスする時間がなかった。戦っていたコートの青年の方はさておいて、いきなり登場させられたあの四人が、よくもまぁあそこまで素速く行動できたものだ。と、リボンズはむしろ感嘆の意を持っていた。

 普通なら、あそこで何が起こっているか分からず混乱すると思ったのだが。
 そうならなかったのは、顔の左半分が隠れていたあの青年のせいかもしれない。どうやら彼は慌てず驚かず、状況を把握していたようだった。

 というかそもそも、人質にしようと連れてきたのはあの少年だけであり、残りの三人は勝手に付いてきただけだ。なるほど、あの裂け目は何人でも通れるのかと、何となく納得した。一人、あるいは一つだけかと理由もなく考えていたのだが。次使うときは気をつけることにしようか。

 などと思っていると、ふいに鋭い敵意が向けられた。
 つい、と顔を向けると、そこには憮然とした表情を浮かべている、アリー・アル・サーシェスの姿があった。どうやら、戦いを邪魔されてご立腹らしい。

 それは申し訳なく思うが、あれは自分ではどうしようもない事故だったのだから、しょうがない。軽く肩をすくめた。やったことに対しての反省は、これっぽっちもない。人質でも取らなければ勝てなかっただろう事は事実だ。

 見たところ、あの青年は別の何かで身体能力を強化しているようだった。どういう能力かを『視る』ことができなかったため、リボンズには使用することはできない、が。
 とにかく、そんな『異端』相手に、人間が勝てるはずがないではないか。

 もしかしたら、あの青年が今回のターゲットなのかもしれない。が、確定していない以上、そうだと決めてかかるのも危険だ。もしも違った場合、後ろから本当の『魔王』が現れ、あっと言う間に自分たちを殺していくかも知れない。有り得ない話でない分、警戒心も強い。

 まぁ、そうでなくても……彼が目標と関係があることは間違いないだろう。でなければ、このタイミングで襲撃には来ない。

 さて、どうしたものか……。
 自分が今、どんな力が使えたかと思い出しながら、アレハンドロを木から下ろしてやる。そろそろ限界だろう。放っておいたら下手したら死ぬ。
 それはまだ困るのだ。

「おい」
「……何です?」

 唐突に話しかけてきたアリーに、リボンズは縄を解きながら答える。
 ……が、きつく締めたせいか、上手く外れない。
 仕方がないので、隠し持っていたナイフで縄を切る。

「テメェ、『異端』なのかよ」
「まぁ、人外ではありますね」

 どさりと主なはずの男が落ちたが気にしない。どうせ、これくらいでは目をさましはしないだろう。ならば問題はない。
 それに何より、いつものことだ。

「もちろん、泥様は知りません。人間以外を嫌う彼が、知っていて僕を傍に置くのというのは……ほとんど有り得ませんね」
「そうかい。ま、敵じゃないんならいいがな」
「話が早くて助かります」

 彼にも、アリーくらいの臨機応変さが欲しい。
 思いながら、リボンズはまだ気絶しているアレハンドロを見た。

 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]