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刹那アレなのだろうな……・元々CP気にせず書いてたのに、いつの間にかそういう感じになってる。刹那を助けに向かわせたからかも。
もちろんティエ様も出てきますけど…ちょっとだけです。
(一体……どれ程の時間が経ったんだろう)
暗い部屋。
動かない手足。
封じられた口。
独りきり。
それが、把握できる全てだった。
時間なんてものは分からなくて当然。ここには時計もないし、この部屋に入れられて時間という概念が奪われたのは……最近の話ではない。体内時計はとうの昔に狂っているし、何となくでも日付を数えていたのは昔のこと。途中から数える事に疲れてきて、それ以来、数えたことはない。
自分の体の状態さえ、完全には把握できていなかった。痣があるのは当たり前。切り傷は探したら見つかるかも。もしかしたら骨も折れているかも知れないが…やはり、現実味がないから分からない。痛覚は麻痺しきっていた。
しかし、そんなことはいいのだ。体は普通よりは頑丈だから、きっと完全に壊れるのはもう少しばかり先。気にする必要なんて、どこにあるというのだろう?そして何より……片割れが見つからない世界の中は灰色で、さして生きようという意欲も湧かないのだし。
次に誰かが来るのは、どれくらい後のことだろう?今度は何をされるのだろうか?殴る蹴るはお約束。投薬も度々。いい加減、役割を仰せつかっている誰かが、イライラを抑えきれなくなるころだろうか……。
(もしかして、終わりはもう、直ぐそこなのかな……)
さして生に執着もない身だ。終焉が来るのなら、静かに受けれればいい。
君は怒るかも知れないけど……ね。
答えを返してくれない片割れに話しかけ、やっぱり返ってこない返事に苦笑して。
警報が聞こえた。
(何だろ……)
襲撃だろうか?だとしたら、相手は?
考えて…瞳を閉じた。
答えのない思考は止めよう。今は静かに、休息を取る。体を休めて『次』に備える。
(こういう事やってるってことは…つまり、僕はまだ生きたいと思っているのかな…)
どうなんだろうと疑問に思いながらも、穏やかな夢の世界へ降りようとした。
しかしそれは、一筋の光によって中断される。
何?と見れば、ドアが開いていた。
そして、そこに一人の青年が立っている。
(あれ…?)
その青年に懐かしさを感じ、微かに瞳を細めた。闇に慣れた瞳は突然の光に耐えられず、映るものを曖昧にしか脳に伝えない。よく見るためには細める必要があった。
黒い髪は所々跳ねていて、肌は褐色。
それから……強い光を湛えた、瞳。
「探した……アレルヤ」
その声は、まさか。
驚いている自分をよそに、彼はアレルヤが話せるようにとマスクを取る。
取られた後もしばらくの間は目の前の光景が信じられず、ただただ、呆然と彼の顔を見つめていた。失礼になるだとか、そんなことはどうでもいい。これは夢なのではないかと疑い、本当であって欲しいという思いがあった。
本物…本当に?これは幻じゃない?
そんな疑問を持ちながら、ポツリと呟く。
「せ……つ、な?」
久しく言葉を発していなかった口からは、掠れた音だけがこぼれ落ちる。
そんな様子に痛々しげに眉を寄せた彼は力強く頷き、ゆっくりとこちらに手を伸ばし……次の瞬間、アレルヤは刹那の腕の中にいた。
突然のことに思わず固まっている内、彼の声が耳に届く。
「遅くなって、すまない」
その言葉は暖かく、申し訳ない気持ちになった。
謝らなければいけないのは、こっちの方なのに。自分だけ捕まってしまって、まさに今、刹那に迷惑を掛けてしまっている。他の人にも多分、たくさん迷惑を。
だから、首を振った。
「謝るのは…僕の…方、だよ……ごめ、ん」
「謝るな」
刹那は首を振り、さらに腕に力を込めた。ちょっとばかし…苦しい……というのに心地よいと思う自分は、どうにかしているのだろうか?
きっと『どうにかしている』のだろうと思いながらも再び瞳を閉じると、耳に彼の言葉が滑り込んできた。
「謝らなくて良い。代わりに…いや、話は戻ってからだな」
その言葉が終わった時、浮遊感を覚えた。
状況を把握するのに、数秒。
「せっ……」
「無理して喋るな。帰ってからで良い」
「けど……けどっ…」
何かしら言いたいのだが、上手く言葉が見つからない。
こんな状況で、誰がパニックにならないだろうか?
慌てながらも、だがアレルヤは別のとある感慨を受けてもいた。
まさか、刹那に『お姫様だっこ』をされる日が来ようとは……。
通路を走る刹那を見上げて、微笑む。
「大きく……なったん、だね…」
「あれから四年だ。当然だろう」
「そっか……四年…か」
もう、そんなに経っているのか。
しみじみと感じ入る。時間の流れは何時、如何なる時も変わらない。それを目の前にハッキリと示された気分だった。
つらつらとそんなことを思っていると、彼はハッとしたような表情を浮かべ、微かに顔を逸らした。
「…すまない。考え無しの発言だった」
「気に…しない…で?」
言って、再び笑った頃には青い機体が視認できるようになっていた。あれが、エクシアの後継機なのだろう。そして自分が救出されたと言うことは、キュリオスの後継機もまた用意されていると考えて間違いはない。
また戦う。その事に抵抗がないわけではない。
けれども……こうも思う。自分たちがやらなければ変化の兆しさえ現れない、と、
「ダブルオーガンダムだ」
「…え?」
「あの機体の名。アレルヤのはアリオス」
「そっか…」
話している間にもコクピットに辿り着き、中に乗り込む。
刹那は普通に席に座り、アレルヤは彼の膝の上に置かれた。……操縦が難しそうだ。だが、他に置きようもないのかと思い直す。今の自分状況…手足の自由な状態でないという事があるのだから。
操縦桿を彼が握り発進しようとしたとき、丁度のタイミングで通信が入った。
画面に映っているのは、四年前と全く変わらない顔。
ティエリア・アーデ。
『刹那・F・セイエイ。そちらの様子は』
「問題ない」
答えながらも彼は機体を動かし、施設から出ていた。
その様子に若干の余裕を認め、少し嬉しくなる。彼のMS操縦技術は着々と上がっていたらしい。弟同然に思っていた相手の成長である。やはり喜ばしいことだった。
『にしても……その服そのままか。どうにかしようと思わなかったのか?』
その服そのまま、というのはアレルヤの姿のことを指しているのだろう。未だに拘束され、思うようには動かないこの姿を。
「時間がなかった」
呆れたような顔をするティエリアに、刹那はしれっと答えた。
まぁ事実だろう。が…それだけでない気がするのだが……。
通信が切れたのを見計らって、ちらりと大きくなった彼の顔を見やる。
「ね…せつな…」
「何だ?」
「脱がせ方……分からな…かった?」
返ってきたのは沈黙。語るよりも雄弁に答えを伝える空気。
つまるところ、答えは是。
相変わらずだな、と笑うと、それだ、と小さな呟き。
「アレルヤは謝らなくて良い。代わりに笑え」
その言葉に軽く目を見開いて、静かに彼に体を預ける。
「……分かった、よ」
「なら良い」
降ってきたのは優しい声音。
気づいたときには、世界に色が戻っていた。
君たちの…仲間の存在が、世界に色を与えた。
(何となく、生きている実感を)
……あれです。自分救済、ですよ。
あのCM見て、痛々しい様子のアレルヤ見て、もう書くしかないと思った……というか、これしか書けなかった……。他のを書こうとしても、どうしても集中できないのです。例のCMが頭の中をグルグルと回ってるから。
あと、刹那はあそこまで成長したならアレルヤをお姫様だっこ出来そうな気がしました。ほら、捕虜生活で体重軽くなってそ…………何か泣けてきますけど…………じゃないですか…それに、大きくなったから、せっさん。
正確な状況は二期が始まらないと分からないのですが……やっぱり、彼の置かれている状況は、あまり良い物とは思えないです。
早めにあの状態から、何とか抜け出して(助け出されて)欲しいな…。