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式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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相互記念品です。清羅 繭 様に捧げます。

こんなので良かったでしょうか……クーリング・オフ(?)はご自由にお願いします。

(これに出てくるそれ・びーのメンバーは、2009年の春号以前の設定です)




「ムリムリムリムリ!絶対ムリっていうかボクが嫌だから!」
「お前の意見は聞いていない。行くぞ」
「……うぅぅ…」
 今、キュリオスはエクシアに引き摺られてホワイトベースの目の前まで来ていた。
 目的は実に単純だ。エクシアがここに用があると言えば一つの事柄だけ……そう、ガンダムに『ガンダムじゃない』と認めさせること。
 そんな無茶な…という意見だとは思うが、本人が大まじめだから手に負えない。彼はありとあらゆる手段を駆使してでも、己の目的を果たそうとするだろう。それを止めるのは自分たちの中でも一番の人格者、デュナメスのハズ……………なのに。
 ……どうしてこんなことに。
 溜息を吐きたいとは思わなかった。ただ泣きたいなぁ…という気持ちがあるだけ。このままではキュリオスは、きっとエクシアの共犯にされてしまう。彼の案には実害は無いから問題はないのかも知れないが、それでもこんなことをするのは極端に気の弱いことを自覚している身としては……かなりキツイものがある。
「どーして今日に限ってデュナメスもヴァーチェも、二人揃って出かけてるんだろ…」
 いつもはエクシアを止めるストッパーの役目を担っている仲間の顔を思い浮かべる。一人だけなら何となく分かるが、二人揃ってどこかにというのは…。
 首をかしげていると、こちらを見ずにエクシアが言った。
「あぁ…キュリオスは知らなかったな」
「…何を?」
「デュナメスには小さいのの相手をしている。ヴァーチェにはあの赤いの……何て名前だったか……」
「シャアさんだよ、シャアさん」
「あぁ、それだ。そのシャアとやらの所に行っている」
 どうして今日に限って二人とも…と思い、気づいた。
「もしかしてエクシアさ…そう仕向けたとか?」
「その通りだが」
 即答。悪いとも思っていないようだ。…実際、彼にとってはそうなのだろう。目的のために舞台を整えた、ただそれだけ。
 おそらくデュナメスには電話か何かで呼び寄せた子供達の相手をさせている。世話焼きの彼が断れるわけもないから、彼はそこで舞台から退場せざるを得ない。きっと裏で手を引いているエクシアの影には気づいているだろうから……口惜しく思っているだろうか?
 それから、ヴァーチェの方は…。
「今頃」
 ポツリとエクシアが呟く。
「あの赤いの、半殺しの目にあっているだろうな」
「…………やっぱりそうなんだ……」
 おおかた「また『頬袋から~(以下略)』とか言っていた」とでも(あるいは似たようなことを)話して、自分から向かうようにしたのだろう。ヴァーチェのことだから、目標を破砕した後にでも気づくだろう……嵌められたと。
 けど…と、キュリオスは引き摺られながら思う。
「気づいて来たときには作戦終了なんだよね…多分」
「当然だ。そうするためにも急ぐぞ」
 いつしか二人はホワイトベースの内部に入っていた。
 目的地は少し先。しばらく歩かなければいけないが、その時間はキュリオスにとって永遠とも、一瞬とも言い難い流れをもっていた。ずっと辿り着けなければいいという思いと、速く終わらせて帰りたいという思い故である。相反する気持ちを抱いていることが、ここまで体に悪いとは思わなかった…。
 いっそのこと、このまま時間が止まってしまえばいいとさえ思う。とにかく嫌なのだ。このプランならさほど迷惑は掛からないだろうが…いや、エクシアのことだから、ガンダムを目にした瞬間にプランを変更してしまうかも知れない。そうなった場合……キュリオスには、エクシアを止めることが出来ないに違いない。
 何だかお腹が痛くなりそうだよ……。
 そう呟きながら、胃薬、後でデュナメスに借りようかな……と考えていた、丁度その時。
「アレ?エクシアサンニ、キュリオスサン。ドウカシマシタカ?」
「エクシアはともかく、貴様も来るのは珍しいな」
 曲がり角でバッタリ、スターゲイザーとノワールに遭遇してしまった。
 不思議そうな顔をしている二人の言葉から、エクシアがどれほどこの場所に来ているかが良く分かったが…それはどうでもいい。
(どうしよう…どうしよう……)
 今、頭の中を占めているのは、その単語だけ。
 これが一番、キュリオスが恐れていた事態だった。ただでさえエクシアの共犯になる、という事実で胃を痛めているというのに……ここで誰かと遭遇してしまえば、張り詰めていた『何か』が切れてしまうことは確定済みだった。
 ……実は、それこそがエクシアが狙っていた『第一段階』なのだが、それをキュリオスが知るよしもなく。
 結果。


 プチン


 何かが、切れる音がした。





「チビ、」
 いつもはオドオドとしている声音が一変したのを認め、エクシアはほくそ笑んだ。第一段階は達成。これから最終段階に入ればいい。
 今の彼はいつもの彼と違い、自分のやることに賛同する。その確信はあり、そしてそれは間違いではなかった。
 突然のキュリオスの雰囲気の変貌に戸惑っている黒いのと、興味深げにしげしげと眺めている白いのから視線を外し、エクシアは彼を見た。ニンマリと笑って、楽しそうにしている彼の方を。
「…面白いこと考えてんじゃねーか」
「協力は?」
「してやるに決まってんだろ?」
「感謝する」
 まだ事態を呑み込めていない二人は既に意識の外である。彼らは作戦の害にはならない……成り得ない。何故なら『ここにいるから』である。今この瞬間にここにいる以上、自分たちの邪魔をすることは不可能だ。
 まさか、二人の足が異常なほど速いわけでもあるまいし。
「行くぜ」
 笑ったまま言ったキュリオスは飛行形態に変形した。
 エクシアは素速くその上に乗れば、次の瞬間、彼は自分を乗せたまま飛び立つ。
 呆然としている黒いのと、不思議そうにしている白いのを一瞥する。これで数秒のタイムラグ。今この状況なら、自分が何をしようとしているかも分からないだろうから、わざわざ追ってくることもないだろう。まぁ追ってきたところで、飛行形態のキュリオスのスピードに追いつけるか、という問題があるが。結論を言ってしまえば無理、である。タイムラグの存在が、それを不可能にしていた。
 他の、例えば理論上は光の速さを超えれるのとか、少しばかり速く動けるから分身出来る、とかいうのだったら話は別だろうが……彼らにそういう能力があるとは聞いていない。あまり警戒対象としなくてもいいだろう。
「オイ、少し揺れるぞ」
 キュリオスの声にハッとし、捕まる手に軽く力を込める。
 それは正しい対応で、曲がり角を急に曲がった彼からは……危うく落とされるところだった。
 このスピードの彼から落ちれば……ぞっとしない話だ。
 やはり、廊下で彼に飛んでもらうのは無茶な話だったのかも知れない。こうやって巧みに飛んでいるのを特等席から見ている分では、彼の方はそれほど心配も無さそうに思えなくもないが……彼じゃなくて、自分が危ないので。
 安定したのを見計らって、エクシアは軽く視線を真下に向けた。
「安全運転は出来ないのか?」
「文句言うんじゃねぇよ。何なら本当に落としてやろうか?」
「……遠慮する」
 目的を果たすまでは、倒れるわけにはいかないのだから。
 強い決意を胸にしていると、ハァ、と呆れにも似た溜息が聞こえてきた。
「面白いのは面白いんだが…なんかチャチと言うか…」
「仕方がない。流血沙汰はマズイからな」
 何と言っても、相手はこのコロニーのリーダー格である。いなくなっては差し支えも出るだろう。紛争根絶を掲げる自分たちが紛争の火種を作る、というのは本末転倒である。それは本意ではない。
 が。
「最終手段としては有り得るが」
「そーかい。んじゃ、今から最終手段を、」
「却下だ。まだ時期ではない」
 時期が来たら本気でやる気か?というキュリオスの言葉を聞き流し、着々と近付く気配に意識を集中する。
 勝負は一瞬。すれ違う瞬間、その時だ。
 エクシアは『その時』に備え、静かに構える。
 9、8、7、6、5、4、3…
 心の中で、静かにカウントを開始し…。
 2、1……
 何度目かの曲がり角を曲がって。
 0
「あれ?エクシアにキュリオス?」
 ———目標、補足。
 驚いたような表情を浮かべるガンダムに、エクシアは…





  ホワイトベースを出る頃には、キュリオスはいつものキュリオスに戻っていた。胸の内にあるのは多大な後悔。
「やっちゃった……」
「実害はない。そこまで気にする必要はないだろう」
「ボクにはあるんだよっ…」
 不思議そうなエクシアにそう叫んで後、微かな目眩を感じてよろける。
 あぁ、とばしすぎたかも……疲れたのかな……何でプチンていったときのボクは無茶ばかり……。
 そして重力に従い、ゆるやかに体は倒れていき…
「大丈夫か?」
 力強い手に支えられた。
 え?と思って見上げれば、そこには頼りにしている保護者役の彼……デュナメスがいた。隣にはヴァーチェが、憮然とした表情で立っている。
「エクシア、一体何をしていた」
「別に」
 ヴァーチェの強い調子の問いに、ふいと顔を背けて答えるエクシア。彼らしい行動と言えば行動かも知れないが……今のヴァーチェにそれはマズイだろう。現に今、彼からは怒気が立ち上っている。
 どうしよう、とデュナメスにちらりと視線をやると、彼は苦笑を浮かべていた。
「後でガンダムさんに謝りに行こっか。オレもついてくから」
「……うん」
 彼はやっぱり頼りになる。
 けれども。
「まずはあの二人だよ……?」
「ほっとくしか無いような気もするんだが…どうにかしないとな」
 キュリオスとデュナメスの瞳には、既に戦闘態勢に入っているエクシアとヴァーチェの姿が映っていた。
 どうしよう…と視線を交わし、どうしようもないか…という結論を互いに導き出して、思わず笑った。こればかりは手の打ちようがなかったから。
 完全に見の態勢に入った頃、デュナメスがそういえば、と口を開いた。
「お前ら、何やったんだ?」
「あ…とりあえず平和的と言えば平和的…かな」
「…?」
「けど、イタズラではあるから……嫌だったな………」
 どんなに小さなイタズラであれ、怒られたらどうしようという不安は付きまとう。それがとても嫌で……罪悪感は今もわりと、胃を脅かしていたりする。
 ハァ、と溜息を吐く自分を、デュナメスは不思議そうに見ていた。

 



 そのころ、ホワイトベース内では。
「何だったんだ……?」
 ガンダムは一人、ポリポリと頭を掻いた。
 物凄いスピードですれ違ったキュリオスとエクシア。
 すれ違った瞬間に、エクシアの手が触れた気がしたのだが……曖昧で、よくわからない。何かされたのだろうか?にしては異変はどこにもないのだが。
 首をかしげていると、パタパタと走ってくる足音が耳に届いた。
 顔を上げてみれば、それはスターゲイザーとノワール。
「二人とも?どうかした?」
「いや、エクシアとキュリオスの様子が変だったからな。何かあったのかと確認にきただけ……ん?スターゲイザー、どうかしたか?」
「イエ…」
 つい、と彼は指さした。
 ガンダムを。
 正確には、その後ろ側…というのが正しいのか。
「何カ異物ガレーダーニ映ッテイマス」
「ガンダム、振り返ってみろ」
「え?いいけど…」
 本当に何だ?と思っていると、どこから出てきたのか鏡が目の前に現れた。持っているのはノワール。その鏡に映って、自分の背後でもスターゲイザーが鏡を持っている様子が分かった。
 それから、自分の後頭部に付いている『それ』も。
「えっと…『オレはガンダムじゃない』……って何コレ!?」
「よくは知らんが…瞬間接着剤を使ってあるぞ。無理に剥ごうとしたら痛い思いをすると思うが…」
「ドウシマスカ?」
 スターゲイザーが問いかけてくるが、どうするもこうするもない。しばらくこのままだ。
 犯人は誰か…というのは訊くまでもないだろう。エクシア、彼以外に自分にこんな貼り紙を貼り付ける相手は居ない。キュリオスは……無理矢理巻き込まれたと言うところか。
 …ガンダムは、どうにかして彼への対策を講じる必要性を、ひしひしと感じ取っていた。


リクは「それ・びーの皆」ということでした……が、デュナメスとヴァーチェの存在感が薄い…ゴメンね、二人とも……けど、裏キュリが書けたので満足です。
あと、デュナメスは胃薬を常備してると思うんだ…。
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