忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

129


129


 次の扉は案外簡単に見つかった。コツを掴んだ、ということだろうか。こんなことでコツを掴んだところで、これからどういう風に役立つかは不明だが。何せ、この場所に来ること自体が希だろうから。

 ドアノブへと手を伸ばし、届く間際で手はピタリと止まった。
 やはり……怖いのだろうか。ここから先はなし崩しで、見たくない物がどんどん順追って現れるから。一度入れば途中で中止、などということは不可能だ。入る前に、向かい合う前に覚悟を決めなければ。真正面から向かい合って、全てを受け入れる覚悟を。

 こればかりは『嫌だからやらない』というワケにもいかない。決めたのだ、二度とこういうことが起こらないようにと。そのため、過去に向かい合おうと。自ら、変化を迎え入れようと。

 だから。

 意を決して、アレルヤはドアノブを捻った。
 大丈夫。今は一人だけじゃない。

 開いた扉の中、そこは『いつもの部屋』で、その日はあの人以外に、あの人の知り合いだという大人も来ていたのだった。名前なんて物は知らないし、顔すらも覚えていないけれど。その人はあっと言う間に炭になってしまったから、覚えようもないし訊きようも無かった。

 本当に申し訳ないことをしたと思う。だが、あの時の自分は頭に血が上っていて、どうしようもなく彼らが許せなかった。だからといって罪が軽くなるわけでも、許されるわけでもないだろうが。


 何故なら…人を殺してしまったのだから。


 そんな、自分が誰かをモノにしてしまう情景を、ハレルヤには二度と見て欲しくはないし、ロックオンにも見せたくはない。しかし、来るかどうかを決めるのは自分ではなく、二人。彼らの気持ち次第なのだ。
 まぁ、そうであったとしても自分の気持ちは伝えるけども。

「できれば、二人とも残って欲しいけど…」
「俺は行くからな。お前の意見なんて聞いてやんねぇ」
「ま、そういうことだな。何より、ここまで来て置いてけぼりは無いだろ?」

 返事は予想したとおりの物。予め推測済みだったので、それほど思うところはなかった。
 反応をクスリと笑うに止め、足を踏み入れる。

「ここで、人身売買が行われかけたんですよ?信じられますか?」
「人身売買って……誰が、誰を?」
「んなの決まってんだろ?」

 ふぁぁ、と欠伸をしながらハレルヤが口を開いた。
 ……そんな、欠伸をしながら言えることではないような気がするのだが…。

「あの男が、俺たちを」
「……え?」
「だから俺たち双子を。あの眼鏡は跡取りで残しときたかったんだろーが、俺たちはたんなるオマケだ。どうせ捨てるなら売っちまおうって算段だったらしいぜ。どこまでも気にいらねぇ野郎だった」
「そういうことだったんです。だから僕は順番が来るまでは物置に……けど、彼の不幸は鏡の存在を知らなかったこと…いえ、あったのは知っていたのでしょうけど、能力を知らなかった」

 それは自分にとっては幸であり、不幸だった。お陰で三人バラバラになることは無かったが、代償として一生背負い続ける罪を抱くことになった。

 ある意味では……『契約』を…三人をずっと一緒において欲しいという、その願いを裏切った彼だったから、相応しい末路だったといえるのだろうか?そうかもしれない。けれど、あまりそうとは考えたくなかった。人の命を奪うということは、そんなに簡単な事ではないから。

 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]