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注意:何か黒い人がいます。出来心です。ごめんなさい。
チビスターズ第五話 ⑦
そろそろ小腹が空いたということで、昼食にしようという話になったのだが……しかし、ここで酷く重大な問題が発生した。
言うまでもないだろうが……そう、財布である。
小さいのはいくらか自分で持ってはいる。が、ロックオンが管理していたほとんどは、ただ今全てティエリアの手の中。そしてついでに言うと、彼がタダで自分たちのために金を出すとは思えない。そんなことが起こったら、間違いなく天変地異の前触れ……はさすがに言い過ぎか。けれど、つまりはそういうことなのである。
さてどうするかと悩んでいると、ちょんちょん、と方とつつかれた。
「ロックオン」
「ん?フェルトか。どうかしたか?」
「これ……」
そう言って手渡されたのは、ティエリアが持っているはずの財布。
「おお、サンキュ…………………………ん?…………………………………って、えぇぇぇッ!?何でお前が持ってるんだ、フェルト!?」
「さっき、こっそりと」
「オイオイ……マジかよ…」
「頑張って身につけたの。いつか使うときが来るかもって」
「普通は来ないからな!?」
しかしまぁ……使うとき、来てしまったわけなのだけど。
世の中というのは、こういうことがあるから分からない。分からないが……あまりに分からなすぎる。フェルトにそんな特技があるというのは。人は見た目に寄らない、その通りだと今、この瞬間ほど思った時はなかった。
ともかく、財布が戻ってきたのは行幸とするべきだろう。
今度は奪われないようにと丁寧に財布をしまって顔を上げると、驚いた顔でこちらを見ているティエリアと目があった。今見た物が信じられない、という顔だ。
無理もない。何せ、この財布は彼の元にあるはずなのだから。
「一体……」
「あ、私が取ったの」
「何!?フェルト・グレイス、君にそんな特技があるとは聞いていないが」
「言ってないから…」
ティエリアが浮かべている表情の理由が分からない、というように首をかしげるフェルトを見て……彼女にとっては、このくらいはまだ常識の許容範囲に入っているのだと悟る。それから…この話題は止めた方が良い。根本的なところでズレが生じているから、いくら話しても平行線だ。
まぁまぁ、と話している二人を止めようとした時。
「けど、ハレルヤも出来るって言ってたけど…」
というフェルトの言葉に、ロックオンは思わず止まってしまった。
それからハレルヤの方を見れば、手を繋いでいるアレルヤと刹那を引き離そうと躍起になっている彼の姿が目に入った。大人げなさ過ぎると思うのだが、言ったところで聞いてもくれないことは容易に想像が付く。
だから溜息を吐くだけに止めて、ロックオンは彼に尋ねた。
「お前、出来るのか?」
「ん?あぁ、スリの技な。出来るぜ?何せ、アレルヤ様はどんなに危なくなっても悪ぃことはしようとしねーからな、俺が変わりに色々やってんだよ」
「だって悪いことはいけないことじゃないか!」
「だとしてもなァ!?お前は本当に危ねぇ時でさえ手を打たねーだろうがッ!俺がどうにかするしかねぇだろ!」
「危ないって…」
何が、と訊くのは……やめておこう。彼にもいろんなことがあったのだろうし。
にしても『色々』というのは。
………と考えて、止めた。こういうのは突っ込むと泥沼だ。
「そういえば刹那には特技、ないのか?」
「……足には少々、自信がある」
「へぇ……そういえば刹那って足、速いよね」
「あぁ。昔、大きい銃を持って瓦礫の上を走り回っ、」
「もういい!もういいからお前らは昔の話をするなっ!」
「全くだ。CBメンバーには秘匿義務という物が…」
「俺が言ってるのはそっちの意味の止めろじゃなくて!」
「つーか、テメェも秘匿がなんとかって言える立場じゃねぇよな」
「ハレルヤもケンカ売るなっ!」
「……聞いてて悲しくなるね…」
「そう、そっちの意味の……」
「…みんなの会話」
「そっちか!?そっちなのかフェルト!?それから今回少し黒いぞ!?」
「……たまにはイメージチェンジ」
「そんなイメージチェンジはいらないからなっ」
いや、もちろん黒い子じゃないのは分かっています。
本当に出来心です。ごめんなさい。