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凄い久々ですね。
00のカウントダウンしてるから、こっちは上手に更新できないのですよ…といっても、あと一話だけど。
擬人化お題も更新したいです。いくつか溜まってますから。
トールギスⅢに連れられて部屋に入ってきたデスサイズを見て、一番最初に感じたのは……どうしてだか、憤りだった。
何で勝手に出て行ったのかだの、どれだけ心配させる気かだの、そういう思いが織り合わさって生まれた感情を言葉にしようとして……両隣から発せられている凄まじいオーラ二つを感じて固まる。
決して自分が抱いている感情が弱いとか、そういう事じゃないのは分かる。……のだが、二人の纏う空気はそれをも遙かに凌駕する勢いだった。
わりと感情を流しっぱなしだった自分と違って、かなり無理に冷静にしていた分が溢れたんだろうと推測しながら、そうっと、刺激をしないように後ろへ下がる。
だが、キッカケとしては充分だったらしい。
ナタクの行動で止まっていた時間が動き出したかのように、ウイングとサンドロックがゆっくりと一歩、踏み出した。
合わせるかのように、一歩後ずさるデスサイズ。
ちなみに、トールギスⅢはいつの間にか退散していた。…賢明な判断だと思う。
そんなことを思う自分及びヘビーアームズ(多分。おそらく高確率で正しいが)をよそに、三人はゆっくりゆっくりと移動していき…ついには、先ほどまでいなくなっていた死神を壁際まで追い詰めた。
そうしてようやく、サンドロックが口を開いた。
「……ねぇ、デスサイズ」
「なっ……何だ…?」
「どうして突然いなくなる」
続きを引き継ぐようにウイングが言う。
出て行って連れ戻された後ろめたさと、二人の持っている空気のせいだろう、デスサイズは顔を明後日の方向に向けながらも冷や汗をかいていた。
「べっ……別に理由なんて…」
「へぇ…理由が無いのに出て行っちゃうほど、ボクらのことが嫌いなの?」
心底悲しげなサンドロックの言葉は続く。
「そっか……なら仕方がないね…」
「違う!そういうわけじゃ…」
「では何故だ」
ウイングに問い詰められ、軽く俯くデスサイズ。
そんな様子を眺めながら、完璧に観衆となってしまったナタクは呟く。
「……端から見たらイジメだな…」
『…同感』
だがまぁ、本心を教えてもらうためには必要と言うことで。
助けてやれないことを心の中で謝りながら、三人の会話を聞く。
「だってさ……死神なんかと一緒にいて楽しいわけ無いし、死神が幸せになっていいわけもないし…………何より、怖かったから」
「何が?」
「……壊すのが」
そういうデスサイズは……泣きそうな顔をしていた。
「いつか誰かが死んで、それを連れて行くのが怖かった。暖かな場所を裏切ってしまいそうで怖かった。……『今』を壊すことになるんじゃないかって、そう思って…」
「あぁ、つまり」
はぁ、とウイングは溜息を吐いた。
「考えすぎが原因か」
「成る程ね。けど、だからって出てくことは無かったんじゃない?」
「けど…」
「……馬鹿なことを考えたな」
イライラと、組んだ腕を指でとんとんと叩く。
つまり『死神』という存在が少しだけ他と違い、彼はそれについて考えていた……それだけだということだ。それ以上でもそれ以下でもなく、ならば結論は簡単に出る。
え、とこちらを見た三名にナタクは言い放った。
「死神だろうと関係ない。誰もお前を嫌いではないし、幸せになる権利は誰にでもある。連れて行くことについては…オレたちがお前より先に死ななければ良いだけの話だろう」
『…単純な解答』
横でヘビーアームズが紙に書いた文字が見えたが、敢えて無視。
『けど、だからこそ正しい』
続いた言葉も、何となく気にしないことにした。
それに、と壁にもたれながら、一言続ける。
「オレは確実にお前より生きるから安心しろ」
「まぁ、ナタクなら健康そうだし…あ、けど修行のしすぎでってこともありそうだから気をつけてね。あぁ、そうそう、そういうことならボクも頑張るから気にしないで」
「オレも努力はしよう」
「…ならさ、自爆止めてくれよ…」
次々と続く言葉たちによってだろう、弱々しくだったが笑った死神は泣いていて。
…それを見た思わず四人でギョッとして、慌てて色々していたら声を上げて笑われたのは……あまり話したくはない話題である。
まぁ、ともかく。
全ては元通りになったと言えるのだろう。
ふと窓枠に切り取られた風景を眺めてみると、降っていた雨は止んで、雲の隙間からは明かりが差していた。
あと一話で終了です。もう少しおつきあい下さい。