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本日17:00から二期スタートの00!
カウントダウンもこれで最終です。
ではでは、二期開始を心待ちに。
20.降ります
「ようやくだな」
「ようやくだね」
「あぁ……ようやくだ」
そこにいたのは、三人だった。
一人は赤いターバンをマフラーのように首に巻いている少年。
一人は長い前髪で顔の片側を隠している青年。
一人は女性とも見紛うほどの美貌を持った青年。
三人は巨大な乗り物に揺られながら、並んでそこに座っていた。
「此処まで来るのは…長かったな」
「四年だからね。よくここまでもったと思う」
「当然だ。俺が残っていたのだからな」
「それもそっか」
「俺もいる。コイツよりも色々と出来るつもりだ」
「ふふっ…頼もしいね」
黒髪の青年が少年に微笑みかけ、ソレを見た紫髪の青年が少年の足を軽く踏みつける。
しかし少年はそれを素速く避け、逆に同じ事をして返して見せた。
二人の間に緊張が走る。
だが、それをもう一人の青年はいとも簡単に崩してしまった。
「もう……二人とも、こういう日にまでケンカはどうかと思うよ?」
「…あぁ」
「それもそうか…」
素直に頷いた二人は互いに足を離し合い、それでも睨みは効かせたままで片方を腕を組み、片方は窓の方へと顔を向けてしまった。
そうなると青年は苦笑するしかない。
そして苦笑しながら言った。
「ケンカするほど仲が良いって言うよね」
この言葉の効果は抜群だったらしい。
ケンカをしていた二人は呆然とした面持ちで青年を見て、ほぼ同時に呟いた。
「俺たちの仲が良いだと……?」
「そんな馬鹿な…」
「え…そんなに驚くことかな、これって」
「驚くに決まっている。有り得ないことこの上ないからな」
「その通りだ」
揃って頷く二人を見て、クスリと青年は笑った。
……そういう意見がそっくりなところとか、やっぱり仲が良いっていう証拠じゃないのかなぁ……。
そう思いながら、言っても否定しかないだろうことが予想できたために黙っておく。正直じゃないと、内心では微笑ましく思いながら。
「というか……君は放浪しかしていないんじゃなかったのか」
「行く先々で、色々とやってはきている。そういうお前こそどうなんだ」
「問題ない。やるべき事はやっている」
「まぁ…完璧主義者がそう言うのならば信じてやっても良い」
と、二人の会話が途切れたところで乗り物の揺れは止まり、目的地に着いたのだと三人に何より雄弁に告げた。
三人は立ち上がり、外を見る。
そこには手を軽く上げて立っている、茶髪の男がいた。
顔を見合わせて笑い合った後、三人は乗り物から降りるべく動き出す。
そして、降りるときに三人の姿はそれぞれ変わっていた。
少年は青年となり、精悍な面持ちに。
青年は隠れていた片眼が露わに。
青年は変わりなく見えるが中身が成長を。
三人は降りて、それから振り返って言った。
「行ってきます」
さぁ、次のステージへ。