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「デュナメスっ!」
「ケルディム…っ」
適当な場所を見つけて、アレルヤの思考の誘導に従って裂け目を作り出し、中にいた四人の人形をこちらへ引っ張り出したハレルヤは、集まった計五人の人形を見た。どれもこれも小さく、自分で勝手に動く……不思議な存在だった。
片割れがいつの間にか人形と出会っていたことにも驚きだが、実はライルと共にいた人形がその人形たちの仲間……ということもまた、驚くべき事だった。……何という偶然だろうか。
これが因果と呼ばれる物なのだろうかと思いつつ、感動の再会を果たした二人の人病を見やる。ケルディム曰く、何百年も会っていないと言うから、お互いにさぞかし懐かしい思いを味わっていることだろう。
だが。
「このバカがッ!」
「うおっ!?」
デュナメスは駆け寄ってきたケルディムに左ストレートを繰り出した。何故右ではないのかというと、それは右手が気弱らしく……初対面の自分たちが怖いらしいキュリオスの手を握っているために使えないから、だろう。
とにかくその攻撃を避けたケルディムは、素速く間合いを取った。
そしてファイティングポーズを取って、叫ぶ。
「いきなり何すんだよ、デュナメス!」
「ケルディム…俺が、たとえ百年経とうと、お前らがやったことを忘れると思ったのか?」
「俺がやったこと……?」
「覚えてないとは言わせないからな!」
「覚えてな…」
「お前本当にバカなのか!?」
何が何だか全く分からなく、起きていたソーマと顔を見合わせる。直ぐに逸らしたが。
人形たちと先に出会っていたアレルヤもライルも状況が呑み込めないらしく、どうやら困惑しているようだ。
「えっと……キュリオス、これってどういう…?」
「ちょっと恥ずかしい話なんだけど……」
微かに顔を赤らめつつ、オレンジ色の髪の人形が俯いた。
それから、ポツリと。
「ケルディムが昔、僕らが全員揃ってた頃にさ…ヴァーチェとケンカしてね?アリオスと一緒に家の備品という備品を、ケンカのとばっちりで壊していったから…」
「ちなみに、悪かったのは絶対にケルディムだ」
「成る程……」
エクシアの補足に頷くアレルヤを見ながら、つまり、とハレルヤは思った。
つまり……それをケルディムが反省していないと言うことだろうか。
「ダメだな、ケルディム。そういう時は謝れよ」
「ダメとかテメェが言えると思うなよ?ダメなことしまくってるヤツが」
「俺は良いんだよ。崇高な目的が…ってね」
「確実に俗な理由だろーが…」
復讐、なんて。
しかも自分のものでなく、他人のものだというのは。
その上、その復讐が自分たちのものだというのは。
些か。
「腹立つんだよ…」
「ハレルヤ……何か言いましたか?」
「……何でもねぇよ」
首を傾げているソーマに何でもないと手を振って、ハレルヤはノックダウン寸前のケルディムと、関節技を決めているデュナメスと……審判をしているヴァーチェの方を見た。
銃撃戦が専門だという話だが……あの二人のこの様子を見ていると、どうしても嘘のように思えた。