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ようやく三万打お礼文。赤ずきんちゃんというか、赤ずきん君。
かなり『赤ずきん』の話と違うのであしからず、ですね。
アンケート品はもう少し待って…
昔々あるところに赤ずきんというあだ名の、とてもとても可愛らしい少年がいました。
なぜ赤ずきんなのかというと、それは彼がお母さんからもらった赤い頭巾を、いつも身につけていたからです。ご飯を食べるときも、散歩に出かけるときも、昼寝の時も、町へ勉強に行くときも、お風呂に入るときも……
「…待て」
あら、何かしら?
「さすがに風呂に入るときは取るし、そこまでいつも付けているワケではない」
いいじゃないの、このくらい。
「良くないから言っている。それでは僕のキャラが…」
ともかく、赤ずきんはお父さんと二人暮らしです。
「流した!?」
「諦めろ……彼女はそういう人間だ…」
「だが……いや、そうだな。その通りだ」
このように、親子二人はとっても仲良しでした。
そして家族は二人だけでなく、森を挟んだ向こう側にはお爺さんもいます。
ですが。
「ティエリア、ナレーションが言っている『お爺さん』に、見舞いの品を届けてきてくれ。そこに森の狩人もいるだろうから、ついでにジャガイモも奪ってこい」
「奪うのか……というか、刹那、君が行けばいいだろう。アイツに会うのは嫌だ」
赤ずきんは、お爺さんのことが大ッ嫌いなのでした。
理由は不明です。赤ずきんも訊かれたところで、分からないと答えるでしょう。
そんな赤ずきんにお爺さんの見舞いを頼むお父さんは猛者ですが……実は、これには深い理由があるというのです。
「理由?」
「あぁ」
お父さんは重々しく頷きました。
「俺はガンプラ制作で忙しい」
…他の人から見れば、実にどうでもいい理由です。
でも、お父さんにとっては何よりも重大な事だったのです。現に、今も真面目すぎるほどに真面目な顔で、真剣な様子で話しています。
当然ながら、赤ずきんがそんな理由で納得できるわけがありません。
彼はしばらく肩を震わせていましたが、懐から黒光りする物を取りだして、その先をお父さんへと向けました。
「君が行け」
「この程度で腹を立てるとは……カルシウム不足か?」
「当たり前の反応だ!」
叫んで、それで落ち着いたのでしょうか。
赤ずきんは溜息を一回吐き、黒光りする物……つまり拳銃ですが、それを懐へしまいなおしました。普通の少年が持つには物騒すぎる物ですが、扱い慣れている彼にとっては単なる護身用の武器。危険などどこにもないのです。
「……そんな理由では動かないぞ」
「ワガママな…」
「それは君だ!」
……この後、やく一時間の議論の末、しぶしぶながらも赤ずきんはお見舞いに行くことを了承しました……っと。これで私の役目は終ね。クリスティナー、続きお願いー!
さてさて、私は暇になったし、お酒でも飲もうかしら。
スメラギさん……四年経っても酒飲みは相変わらずなんですか?もう…。
…じゃなかった。今はナレーションに集中、集中!小言はその後しっかりと!
出かけた赤ずきんは不機嫌な表情で、森の入り口に立っていました。この森を抜ければお爺さんの家はすぐそこです。
ですが、赤ずきんはそこから動こうとしませんでした。
森に、危険なオオカミが住んでいるからではありません。
赤ずきんは、とにかくお爺さんに会いたくなかったのです。
今、彼の頭の中には『どういう言い訳をすれば、お爺さんの家に行かなかったことを責められずに済むだろう』ということでした。
別に責められたとしても、赤ずきんは一向に構いません。その時は相手を言い負かせば良いだけの話なのですから。
問題は、しぶしぶであれ了承してしまったことでした。了承したというのに実行しないというのを、彼のプライドが許そうとはしなかったのです。彼の真面目な性格が、こんなところで足かせになってしまいました。
…こういう時こそ柔軟な思考とか使うんじゃ?
「君はそれを求めてくるのか……?」
ゴメン!…いや、やっぱり四年経っても、変わらないトコは変わらないのねー。
「そう全部変わってたまるか」
それもそっか。
…さて、悩んでいた赤ずきんでしたが、ついに意を決したようです。一歩、森へと足を踏み入れました。
そんな赤ずきんの心中はあまり知りたくありません。
手が懐に伸ばされているだけで、何を思いお爺さんの元へ行くのかは明白だからです。
……え、私の仕事ってここで終わり?思ったより速いなー。あ、のんびりできるようにってスメラギさんが配慮してくれたのかも。
じゃ、次はフェルトよろしく!終わったら、二人で買い物行こ!
うん。なるべく速く終わらせるね。折角の機会だし…。
…森へ入っていった赤ずきんは、とある地点でぴたりと足を止めました。
見渡す限り木、木……で、目の止まる物も全く見あたらない場所で、彼は左手のバスケットをしっかりと持ち直し、懐に伸ばしていた手に微かに力を込めました。完全に、敵を撃退するための構えです。
そう、この場には敵がいました。
僅かな敵意を敏感に感じ取った赤ずきんは、こうやって臨戦態勢に入りました。
全神経を研ぎ澄まし、今か今かと待ちかまえる赤ずきん。
そんな彼の耳に、こんな会話が入ってきました。
「ねぇ……やっぱり止めようよ…」
「っせぇな。やるって言ったらやるんだよ」
「けど…この森って果物もいっぱいあるし…食べ物には困らないよ?」
「俺はパンとか食いてぇの!いつもいつも魚に肉に…たまにはいいだろ!?」
ここで『肉を食べたい』と言わないところ…結構リアルというか…。
「お肉はハレルヤが獲って来てくれるから…」
「木の実は基本的にアレルヤな」
あぁ……何か二人らしいね。
「だろ?こいつ血ィ見て泣き出した事もあるし」
「ちょっ……それってかなり昔の話だよね!?何で覚えてるのさ!?」
「そりゃ覚えてるからだろ」
「うぅぅ…それはそうだけどね……」
そんな会話をしていた双子のオオカミの間を、何かがとてつもないスピードで通り過ぎました。何か……そう、赤ずきんが持っていた銃から放たれた、鉛玉です。
ちなみに、その銃弾は金眼オオカミの頬に、赤い筋を作り出しました。
銀眼オオカミは真っ青になり、金眼オオカミは獰猛な笑みを浮かべます。
そして少し離れた場所の、銃口から煙の立ち上る銃を持った赤ずきんを見やりました。
「テメェ……やってくれんじゃねぇの」
「先手必勝だ。あのジジイにくれてやる物はないが、だからといって君のような存在に見舞いの品を奪われるのも腹立たしい。そういうことだ……大人しく死ね」
「誰がッ!」
金眼オオカミは咆え、銃を構える赤ずきんへと向かっていきました。
赤ずきんは……全く動じた様子もなく、ただ銃口を合わせ…引き金を引きました。
銃声が響き渡ります。
「……ハレルヤ!」
倒れたのは、金眼オオカミの方でした。
ゆらりと揺れる体躯を銀眼オオカミが支え、涙目になって揺さぶります。
そんな幼いオオカミを見て、赤ずきんは拳銃を懐にしまいました。
「…安心しろ。死んでない」
「え……?」
赤ずきんの言葉に一度は顔を挙げた銀眼オオカミでしたが、すぐに金眼オオカミの方を見て、胸が上下しているのを確認しました。彼の言うとおり金眼オオカミは生きています。
ほうっと息を吐いた銀眼オオカミの隣に、赤ずきんは腰掛けました。
「死ぬわけがないだろう。峰打ちだからな」
「銃弾で峰打ち!?できるの!?」
「人間、やろうと思えば何でも出来る」
「いや…人間って言うかそれは道具の問題で無理な気が…だって撃ったよね!?」
「気にするな。本当に人間、何でも出来るぞ?目だって光らせることが出来る」
「本当…?」
「本当だ。ほら」
「うわぁ……!凄い!」
こうして金眼オオカミのことを忘れ去り、二人は話し続けました。
結果、子供の人間と子供のオオカミは、いつしか友達になっていました。
……これで私のノルマは終了。ミレイナ、締めはよろしくね。
私、クリスティナと買い物に行ってくるから。
はいです!任せて欲しいです!
ところかわってお爺さんの家です!
お爺さんの家ではお爺さんと、お爺さんの兄弟の狩人さんがいらっしゃったのです!
「…悪い、ミレイナ……ナレーター、誰かに変わってもらえ」
何でですー?
「自覚ねーのかよ…」
「ま……まぁ、そういう子なんだろ」
「そういう子って……兄さんは基準が甘すぎると思うけど」
「お前は色々求めすぎだろ…」
そんなこんなでお爺さんと狩人さんは口ゲンカをしていたです。
でも、その途中で、ふいに家の扉が開いたです。
「いるか、ライル・ディランディ!」
「げっ…お前っ…」
そこに立っていたのは赤ずきんさんでしたです!
そんな赤ずきんさんを見たお爺さんは顔を引きつらせて、逃げようとしたです。
赤ずきんさんはお爺さんを見据えて、振りかぶったですー!
「見舞いの品だ……受け取れッ!」
そして飛んでいったバスケットは、見事にお爺さんの額に直撃です!お爺さんは綺麗に意識を失ってしまったです!
気絶させた赤ずきんさんはというと、何だかとってもスッキリした表情です。ふん、と笑ってさえいるです。
「森の狩人、後でジャガイモを家に届けろ。あと、銃弾を」
「何?刹那が何か言ったわけか?」
「あぁ。分けてもらえと。銃弾の方は個人的な頼みだ」
倒れているお爺さんをチラリと見て、赤ずきんさんはクルリと踵を返したです。
「もう帰るのか?」
「いや…寄り道をしていく」
そう言って、赤ずきんさんはフッと笑ったです。
「新しい知人が出来たからな」
こうして、無事にお話は終わったです。
めでたし、めでたし、です!
L2「ちょっと待て!俺は全然めでたくないんだけどな!?」
H「オイ眼鏡、ちょっとツラ貸せ」
T「辞退する」
赤ずきんちゃんというか、赤ずきん君というか……ティエずきん、いかがでしたでしょう?
楽しんでいただけたら幸いです。