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キュリオスは、居心地が悪いと感じていた。何と言うか……良く分からないのだけれど、自分たちがここにいてはいけないような、そんな気がしたのだ。部外者、そんな感じがヒシヒシと感じられる。
見たところ、この場にいる全員が全員、普通な様子に見える。
普通に喋って、普通にそこにいて、普通に表情を変えて。
けれど……だからこその不自然さを、分からないままに感じていた。
一体何なのだろう、と、エクシアの腕に捕まりながら思う。
……捕まっているのは、それが分からないという事実と、微かに感じている居心地の悪さ、それに知らない人が三人……という状況で、些か不安に思っているためなのだが……迷惑になってないだろうかと、少し心配である。だからといって、手を離すのは怖いので無理ではあるのだが。
それでも、とキュリオスは怖ず怖ずと、捕まっている腕の持ち主を見た。
少し遅くなったけれど、一応、訊いておこう。
「ねぇ…エクシア……」
「何だ」
「僕が捕まってて……迷惑じゃない?」
その言葉に虚を突かれたような表情を浮かべて、彼はふいと視線を逸らした。
予想外すぎる行動に首を傾げていると、ポツンと、呟くような返事。
「……考えてなかった」
「え?」
「迷惑とか、そんなこと…思ってもいなかった」
あんまりに自然すぎたから。
この場の雰囲気とは、全く逆に。
そう、こっそりと付け加えられた言葉に、キュリオスは勢いよく顔を上げた。
上げて……キュリオスの後頭部と、エクシアの顎が、触れ合った…なんて言葉では言い表してはいけないほどの衝撃で出会った。
「…っ!?」
「痛っ!?」
「……何をやっているんだ、お前たちは…」
互いにぶつけた場所を押さえていると、直ぐ傍にいたヴァーチェから呆れの声。
ヒリヒリ痛む後頭部を撫でながら、涙目のままでキュリオスは今度はゆっくり顔を上げた。
「エクシアも気付いてたんだ……ね、理由分かる?」
「不自然さのか?…分からない」
「そっか……あ、ヴァーチェは気付いてる?」
「あぁ。それから、向こう側にいるソーマとか言うのも、気付いているようだな」
…言われてみれば確かに、若干だが、彼女も眉根を寄せている。
おぉ、とヴァーチェの観察眼に感動しつつ、キュリオスはじゃあ、と言葉を続けた。
「気付いていないのは?」
「デュナメスとケルディムくらいのものだろう。あの状況で気付くことができれば奇跡だろうからな。互いが互いのことしか目に入っていない」
「ケルディムの場合、注意を逸らしたら死んじゃうよね……」
そこは納得である。
しかし、名前が挙がっていないのが、三名ほど。
ということは、とキュリオスはヴァーチェの服の裾を引いた。
「じゃあ、気付いているでもなく、気付いていないでもない三人は…」
「そうだな…」
理解できない、というようにヴァーチェは目を閉じる。
キュリオスとエクシアが見る中、彼は口を開いた。
「アレルヤ、ハレルヤ、ライル……この三人が、この気まずさの原因だろう。旧知なようだが…出会えたのなら素直に喜べばいいものを……」