お題：緑 11.かぐや姫

薄暗い感じの話に仕上がりました。
そう…としか言えません。
緑お題なのでニルアレ。ただ、そういうの抜きに単なる「かぐや姫」としても読めるように仕上げたつもりです。本当に「つもり」ですが。

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11．かぐや姫



　あまりに多くを残して
　貴方は行ってしまいました

　本当にたくさんの物を残して
　でもそれは
　ある意味では残酷でした

　有り余るほど多くを残してしまえば
　それを与えた存在の欠落は
　とてもよく目に付くのです

　だからみんな
　悲しむのです

　もちろん全員
　悲しむ資格がないことくらいは分かっています
　悲しめるほど
　自分たちは何もしていないわけではないのです

　それでも今は
　どうかみんなで
　悲しみに浸りたいのです

　エゴでしょう
　ワガママでしょう

　愚かでしょう
　見苦しいでしょう

　それを分かっていてなお
　悲しみを手放せないのです

　貴方が天へ行くは当然の摂理
　貴方が天へ去るは自然の道理

　どうしようもないこと
　諦めるしかないこと

　分かっています
　分かっているのです

　分かっていても悲しむ自分たちを許してください

　天に住む者を名乗りながら
　天に行き着くことのない自分たちは
　永遠に貴方には会えません

　だからせめて
　せめて思い出す権利だけは
　自分たちの手から
　奪わないでほしいのです






　今日もソラを見て
　貴方のことを思います

　あっと言う間に消えて
　その短い間に
　たくさんをくれた
　貴方を





 

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悲しめるほど～の下りがなかったら完全にかぐや姫な感じです。
緑お題なので、アレルヤ独白…とは言えませんが、そんな風味。
かぐや姫のままだったら、帝から…になります。