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一酸化炭素って毒素がありましたよね?
違うかなぁ…でも中毒なるからまぁ…良しとしましょう。
それを踏まえてフィーリングでお願いします。
11.一酸化炭素
それは毒のように。
「ヨハンさん、これ、ありがとうございました」
そう言って差し出されたのは一冊の本。
何だったかと思い返してみて、そういえば料理の本を一冊ほど貸していたと思い出す。ちなみに菓子専門の料理本である。何故そんなものをヨハンが持っていたかというと、それの理由にはネーナの存在が大きくある。甘い物が好きな末っ子に、しばしばご褒美と称して作ってやることがあるのだ。
「参考にはなったかな?」
「えぇ、とっても。ですから今から、実際に作ってみようかなって」
「あぁ……だから君がいるのか、刹那・F・セイエイ」
「手伝いだ」
短く答えて、それから刹那はふいと視線を逸らした。
嫌われているな……と苦笑しつつ、ヨハンは本を受け取る。
「良かったら私も手伝おうか?」
「あ、そんな…いいですよ。ネーナがやってくれるって言ってますから」
「ネーナが?」
それは何とも。
刹那とアレルヤと一緒に何かができるから、ここぞとばかりに名乗り出たのか、あるいは……ネーナが菓子を作ると言い出して、そして手伝いに二人が駆り出されたのか。どちらでも問題はないし、微笑ましいことに変わりはないのだが。
だが……刹那が、果たして普通に協力してくれるのだろうか。
自分は普通に流してしまったが……ネーナは、刹那に無理矢理キスをしたのである。イメージは最悪だろう。
そんな二人が同じ厨房に立つ。
これは……心配、どころの話ではなかった。
「いや、やはり私も…」
「大丈夫だ、ヨハン・トリニティ。貴様がいなくとも何とかなる」
「刹那、そういう物言いは失礼だよ?…とりあえず僕が一緒にいますので、問題は出来るだけ起こさせないつもり…ですけれど……」
自信なさげに、アレルヤは笑みを浮かべた。
「……もしもの時は……お願いできますか…?」
その言葉に、アレルヤもネーナと刹那を同時に同じ場所に置いておく危険性を、よくよく理解しているのだと分かる。彼も問題のシーンでは一緒にいたのだし、ここはまぁ、知って然るべきだろう。
それでも自分の介入を辞退したのは、何とか二人に仲良くして欲しいから。あまり周りに人がいるのは好ましくない、ということだ。折を見て彼も、キッチンから出るつもりかもしれないが………それは本気で危険なので、できれば止めて欲しい。まさか銃が出てくることはないだろうが、それに近い事になる予感がする。ネーナはともかくとして、ここにはミハエルもいるのだ。
本当に大丈夫なのだろうかと心配に思っていると、クスクスという笑い声が耳に届く。
「ヨハンさん…何思ってるか、顔に出てますよ?」
「心配性だな。ロリコン・ストラトスと良い勝負だ」
「刹那……ロックオンはロリコンって名前じゃないよ?」
「もう公認だ」
実際はそうでなくても刹那はそうい言い切って、くるりと身を翻して歩いていった。おそらく一足先にキッチンへと向かうのだろう。ネーナはアレルヤが迎えに行くか、始めからキッチンにいるかのどちらかだが、ヨハンとしては前者であることを願いたい。台所用品が壊れるのは少々…キツイ。
そんなヨハンの憂慮を察したのか、心配しないでください、とアレルヤは言った。
「僕らがどうにかしますから」
「だが……」
「大丈夫ですよ」
そう言って安心させるよう笑みを浮かべるアレルヤを見て、ヨハンは…折れた。
はぁ、と溜息を吐いて彼を見る。
「本当に危ないと思ったら、すぐにこちらに知らせるように」
「分かってますよ」
最後にもう一度笑みを見せて、そして、アレルヤは去っていった。
その背を見ながら思う。
いつの間にか…あの笑顔に勝てなくなっている。気付かないうちに、徐々に毒されている……というべきだろうか。
これが天然なのだから敵わないなと苦笑して、ヨハンはくるりと踵を返した。
一酸化炭素、本気で出てこない…ね。
とりあえず一酸化炭素=毒、ということで、それを踏まえてフィーリングでお願いしましたが……無茶かなぁ…。