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気付いたら、知らないところにいた。
しかも全員で。
その上、別の人が数人。
さらにつけくわえると、その中に自分そっくりの、目のつり上がっている彼がいて。
「……えっと?」
これはどういう状況なのだろうか。
一瞬唖然として、しばらく呆然とし続け……ハッと我に返ったのは、エクシアが静かに、驚きを持って呟きながらも叫んだからだろう。
「……ダブルオー……!?」
「…エクシア」
その言葉がキッカケとなった。
キュリオスは目の前にいるのが間違いなく彼だと分かり、瞬間、一気に目を潤ませて彼の……アリオスの胸の中に飛び込んでいた。
「ありおすーっ!」
「うわっ……おまっ…急に飛びつくんじゃなっ……」
「いやいやアリオス、そんな照れなくてもいいんじゃないかグハッ!?」
やれやれ、といった面持ちでアリオスの肩に手を置いた誰かが突然に吹っ飛んで、キュリオスは目を丸くした。誰?という疑問よりも今はまず、何で?という問いの方が大きい。どうして突然に吹っ飛ぶようなコトが。
しかしそれは直ぐに判明した。しかも問いが両方とも。
ヴァーチェが、抱きしめ合っている自分とアリオスの脇を駆け抜けていったのだ。
「貴様その物言いに軽薄な空気!間違いなくセラヴィーだな!?」
「いやぁヴァーチェ、久々でいきなりな挨拶ありがとう。やっぱり君は君なんだねぇ……ってギャァァァァァ!?痛ッ!?ちょ、腕もげるから痛ッ!?」
「貴様のことなど知ったことか!」
ギリギリとセラヴィー……らしい彼に関節技を掛けるヴァーチェを見て、あぁ、と思う。
何となく納得だ。確かに彼はセラヴィーだろう。
ということは、先ほどからエクシアと向かい合ってジッと見つめ合っている彼女はダブルオーと言うことで。
状況を呑み込めない数名のうちにはデュナメスとケルディムもいて。
これは、つまり。
「……全員揃ったの……?」
「あのイカレ女を除けばなぁ……」
アリオスの相変わらずの口の悪さを注意する気も起きなかった。
それよりも、今は。
「……てーか何でテメェがここにいんだよこのハム!」
「何と!?どうして我が最愛なる弟妹たちがかような場所に!?そして眠り姫!?」
「は……眠り姫?」
「貴方のお兄さんのあだ名です。そして紅龍さん、お久しぶりです」
「えぇ……ところでこの状況は……?」
人間たちもどうやら知り合いどうしだったようだけれど。
久しぶりに出会えた、このワケの分からない奇跡に感謝したい気持ちだった。
「ねぇ、アリオス」
「ん?」
「僕のこと、忘れなかった?」
「……バーカ」
「えへへ……ところで、ちゃんと好き嫌いせずにものは食べた?」
「っ……」
「……後で野菜、食べさせてあげるね」