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滅多にない白辺高校の更新がこんなので果たして良いのだろうか…いや、多分、ナタク辺りに知られたら本気で抹殺されそうな…。

そんな感じの擬人化学パロ、W組の話です。



「何て言うか、華、が無いよねぇ」
「……は?」
「だから華」
 食卓の椅子に座って頬杖をついてサンドロックが呟いた言葉は、残りの四人それぞれに衝撃を与えたようだった。あるいは理解が付いていかない、置いてけぼり感だろうか。どっちにしろ、全員がピタリと彫像化したのは事実だろう。
 石化が解けることを待つこと数秒。一番最初に自由を取り戻したデスサイズが、部屋の中をぐるりと見渡しながら首を捻る。
「…何で突然、華?花瓶にはたっぷりとあるよな……?」
「あぁ、そっちの花じゃなくて、彩りというか、紅一点というか」
「……紅一点?」
「そうそう、紅一点」
 だって、と各々の顔を指さしながら続ける。
 ウイング、デスサイズ、ヘビーアームズ、ナタク……そして自分。
「今更だけどさ、男五人だけで一緒に生活って潤いがないと思わない?」
「そんな物を得てどうするつもりだ?何の得もないだろう」
「ウイング、こーいうのは得とかそういう問題じゃないんだって。気分だよ」
「でもなー……思春期真っ盛りの中に女の子って、それって連れて来られる女の子の方が可哀想だと思うんだけど。ほら、見ず知らずの人と一緒って…不安でオチオチ寝てられないっていうかさぁ」
「え?誰が女の子連れてくるって言ったっけ?誰かが女装するだけでどうにかなるよ」
 その言葉に、ピシリと何かが凍った気がする。何故だろう。自分に付き合ってくれることにしていたらしいウイングやデスサイズだけでなくて、石化が解けた後も我関せずを貫くことにしたらしかったヘビーアームズとナタクまでもが、手に持っていた物を取り落としているのだが。
 どうしたんだろう、と首を傾げていると、力なく挙げられた手。
「はい、デスサイズ。どうかした?」
「……それって潤いって言うかその……むしろ刺激が欲しいってコト?」
「あぁ、そうかもしれない」
「てーか、間違いなくそーなんじゃ?」
「……なら、自分で女装でもすれば良いだろう」
 溜息を吐きながらのナタクの言葉に、微かに頬をふくらませる。だから、普通にそんなことをするだけではつまらない……もとい、刺激というか気分的に何かが足りないのだ。だからそれは却下。そもそも自分がそれをやるつもりがない。
 これはどうしたら良いのだろうかと考えて、一つひらめくアイディア。
「じゃあさ、ババ抜きやって最下位の人が女装ってコトで。1ヶ月間、学校内でも」
「それは流石にどうかと思うんだが……」
「えー?そんなこと言うなら家主権限使うよー?」
 ウイングの反論にこう言って返すと、彼はグッと詰まったように押し黙った。当然だろう。家主権限というのはつまり、自分たち五人の住んでいるマンションの持ち主たる自分が、入居人を追い出したり引き入れたりする権限のことで。いうなればここに住んでいる住人(自分除く)の誰にでも通じる禁じ手だった。
 ふふふ、と笑っていると、目の端にチラリと映る『横暴』という細やかな文字。そこからは呆れでもにじんで出てくるような気がして、思わず苦笑を浮かべた。横暴、確かに。けれどこうでもしないと、こんな馬鹿げたことに乗ってくれるとは思えないから。単なる暇つぶしのための仕方がない手ではある。実際に誰かの女装姿は見てみたいし。
 そんな思いを込めて肩を竦めると、全てを分かったらしい隣の彼はそれっきり何も書かなくなった。おおよそ、彼も同じ気持ちなのだろう。
「じゃあデスサイズ、そういうわけだからトランプお願い」
「嫌なんだけどな……」
「家主権限」
「分かってるって!嫌でもやるっての!」
 慌てて立ち上がってトランプを別室に取りに行く彼の後ろ姿を見送りつつ、ちゃんとババ抜きが出来るようにとテーブルの上をヘビーアームズと二人で片付ける。協力的なヘビーアームズの様子にウイングもナタクも軽く驚いているようだけれど、別に自分たちの間にあったやり取りを話すこともないだろうと、何の説明もしないことにした。
「誰が負けると思う?」
 大方片付け終えて落ち着いたところでサンドロックはヘビーアームズに問いかけた。デスサイズは帰ってこない。トランプなんて滅多に使わないから、今頃部屋中をひっくり返しての大騒ぎになっているかもしれなかった。そうだった場合、後で片付けは手伝おう。言い出したのは自分だから、そうする義務は間違いなくある。
 そんなことを考えているとは知らず、知っていようと何が変わったわけでもないだろうが、さらりとヘビーアームズは答えを手元の紙に書き記した。
『いつも通り』
「……だよねぇ。今回だけ、ってことはないよねぇ」
 その回答にクスリと笑ったところで、ようやくトランプが届けられた。


 そして十数分後、いつものごとくの長い黒髪二人の一騎打ちにてババ抜きは終戦した。
 ……負けた紅の瞳の彼は、グッタリとテーブルに突っ伏していた。






横暴です。いや、書きながら本当に思った。
私のトコのサンドロックは、一体どこへ向かうんだろう…。
あ、あと、黒髪長髪なのはデスサイズとナタクくらいです。ウイングは白髪、サンドロックは茶髪設定。ヘビーアームズも黒髪だけど、肩の辺りまでしかありません。このあたりはAnother Storyのキャラ設定を見た方が楽、かもしれませんね。

ちなみに、この話は少し、別の話に繋がる予定です。
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