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今回は機体の出番も多かったです。全員頑張ってました。
ので、今回はダブルオ・ケルディ・アリオス・セラヴィの四名視点です。



 人が、一つになっていた。
 これは仮初めの物かも知れない。薄っぺらい、直ぐに壊れてしまうような脆い関係かも知れない。いや……確実に、この危機さえ過ぎれば儚く崩れ落ちてしまうような関係だろう。人々の間にある根強い敵対心は、簡単に消えたりなんてしない。
 それでも、今、一つになっていることに変わりはなくて。
 ……凄い
 何だか、とても嬉しく思えた。
 世界を、人を一つにしようと働きかけ続けている自分たちの行為が、あるいは実を結ぶかも知れないという希望も、また、生まれた。
 嬉しい。どうしよう。とっても嬉しい。
 願うことなら、と、落ちてくる外装を打ち抜きながら思う。
 この瞬間が、危険を伴わずにずっとずっと、続いていけばいいのに、と。
 一人一人が他人を思い、他人のために行動できるようになれば良いのに。そのために、協力だって出来るようになればいい。
 そして、それが出来たときこそが世界が本当に平和になる時。
 自分たちが、求めている未来だ。

 舌打ちを一つ、そうして気分を入れ替えて地上へと向かう。
 失敗した。いくら成功率が低かったとしても、これは成功させなければならなかったというのに。あの兵器を破壊できなければ、何万もの人々の命が消えていってしまうというのに。それが分かっていてなお、自分は、破壊に失敗してしまった。
 あと少しなどと言う言い訳は許されない。結果こそが全て。
 そして、結果は、兵器は稼働してビームが放たれた。それだけだった。
 第二波が来ないように出来ても、第一波が防げなければ意味がないのだ。どんなに強くても、機体性能が高くても、ここぞと言うときに使えなければ意味のない。無用の産物でしかない。
 とても腹立たしい。自分に対しての憤りを覚える。
 もっと上手くできていたら良かったのに。あの機械を切り捨てて、救うことが出来れば良かったのに。あんな、どんな使い方をしても奪うしかできないような兵器を、壊すことが出来れば良かったのに。
 悔いは次々と溢れ出し、心を徐々に覆っていく。
 どうして、もっと上手くできなかったのか。
 どうして、壊すことが出来なかったのか。
 どうして、これだけ力を持っているのに。
 どうして。

 飛び交うビームの中、誰よりも多く外装を打ち落とそうと狙いを定める。
 恐らく、地上に残った自分たち三人が、連邦軍やカタロン、クーデター派の機体のどれよりもこの状況に向いている。彼らの機体は基本的にバランスの取れた、どんな作戦にも対応できるような代物だ。ありていに言うと、全てが平均的。そしてそれは貶す言葉はなく、あらゆる状況に滞欧できるという意味で褒め言葉となる。
 が、やはり、この状況では些か物足りない。
 頑張っているのはよく分かる。だからこそ、被害も最小限に抑えられている。それに、その点は数によってどうにか補われているようだった。
 その事に安堵しながら、ビームを打ち続ける。
 殆ど全ての武装を使い果たしている今、きっと、自分たちの背中はさぞかし無防備だろうと思いながら。
 もしもここで敵が来たら、間違いなく自分たちは全滅するだろうと苦笑する。応戦する前に捕らえられて、抵抗するまでもなく反抗の手段を根こそぎ奪われるのだ。その様子が目の前に映し出されているかのように予測できる。
 それでも、引き金を引くのは止められない。
 止めてしまったら、たくさんの人が死ぬ。
 どうか、敵にもそれが分かって欲しい。

 アロウズが助けに来たと知った瞬間、一番に思ったのが『そんな馬鹿な』だったのは、とりあえず自分のせいではないだろう。今までさんざんに残虐な事をしてきて、ここで助けに入ってくるなどとは中々思えない。
 そもそも、現状はアロウズのせいなのだ。原因をクーデター派が造り出したとは言え、それに対抗してメメントモリなんて最悪な兵器を起動させるから。連邦がバックに付いているのだから、市民を傷つけるような方法以外に……もっとやりようがあっただろうに。何だか彼らが簡単な道を選んでいるような気がしてならない。不快だ。
 自分にとっては、アロウズを潰す理由などこれだけで充分だった。気に入らないから潰す。何も変な考えではないし、単純にして明快だ。
 しかし、今は。
 手伝いをするというのならば、今だけは敢えて背中を晒そう。隙も見せよう。今だけだろうと協力もしよう。手は、一つでも多い方が良い。これだけの数で応戦しても、まだ人手は足りないのだ。
 だから今だけは、共闘を認めてやる。





アリオス・ダブルオー・ケルディム・セラヴィーの順です。
彼らにとっても、あの戦いは思うところがあればいい。
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