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「一番の問題は、今後の身の振り方だな」
「……倒しに行くか、静観するか」
「あるいは彼らの仲間になるか、だな」
デュナメスの言葉に答えるエクシアとケルディムを眺め、ダブルオーはとんと軽く背中を壁に付けた。話し合いはあの三人と、腕を組んで考え込んでいるヴァーチェに任せていればいい。自分はそもそもあまり喋らないから、あぁいった話し合いには結構不向きだ。
名前の挙がらなかったキュリオス、アリオス、セラヴィーはというと、オレンジ色と紫色の球体を探しに行った……のだそうだ。だそうだ、というのは探しに行ったのは分かっているのだが、オレンジ色と紫色の球体についての知識を全く持っていないからである。本当にオレンジ色と紫色の球体なのかが判別できない。
確か倉庫から出て、その後直ぐにキュリオスが「そういえばハロとHAROは!?」と叫んだのが始まりだったはず。自分とアリオスとセラヴィーはイマイチ理解できない話だったが、その前に集合していた五名はピンと来たらしい。話し合いと平行して消えてしまったハロとHAROとやらを探しに行くことになった。
探しに行った方はまぁ、大丈夫だろう。キュリオスだけでは不安だしセラヴィーがいたらよけいに不安だが、そこにアリオスが加われば殆ど安心していることが出来る。あのアリオスが、キュリオスを危険にさらすワケがないのだ。ただしセラヴィーがどうなるかは分からない。彼は彼でどうにかするだろう、きっと。
そういうわけだから、ダブルオーはこちら側にいた。さすがに四人は行き過ぎだし、対応型が傍にいた方がこちらとしても気が楽だと言えるから。何せこちらは元々が武器。使い手がいてこその存在なのだった。
そして、ダブルオーの視線の先でその使い手が口を開く。
「俺は、しばらく静観すべきだと思う」
「同感だな」
ヴァーチェも頷き、組んでいた腕を解いた。
デュナメスにも異論はないようで、ケルディムも同様。
やけにあっさりと決まったが、これは多分、自分とは違って彼らが世界の意志を見に降ろしてしまった対象を知っているからだろう。だからこそ、しばらくは放っておいても問題ないと考えたのだ。同時に、これからに対して少しでも時間を多く取って考えたいという複雑な心境もあるのだろう。なんだかんだと言って、自分たちは割と甘い。
だが、だからといって。
最悪の事態に備えないわけにはいかなかった。
すっとダブルオーは目を細めた。
「……もしもの時は」
「そうだな……その時は、存在理由を全うするだけだろ」
「出来る?」
「出来るじゃなくてやる、だろ」
何でもないように言うが、果たしてデュナメスは本当にやるのだろうか。出来るのだろうか。自分の知っている彼には不可能である気がする。彼に、知人を殺すなんて出来るわけがないのだ。
それでもやるのだろうか。
だとしたら、その時、彼は自分をも殺すのだろうか。
そして、それは。
エクシアにだって当てはまるのか。
「……そう」
たくさん言いたいことがあったけれど、全てを押し込めでダブルオーはそうとだけ呟いた。そうするしかなかった。
言ったところで、起こるであろう未来は変わらない。
その時、きっと自分も自分を殺すから。