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今回は①でいなかった二人のイノベと刹那の出会い(というと語弊が)の話です。
次くらいにはみんな合流できるかな…?
「おや、こんなところに僕が気にしている機体があるよ。ご丁寧にコクピット開いてるし……ねぇデヴァイン、これって持って帰ってはいけないのかな?」
「いけないと思うが……というか動かせるのか?」
「そこはヴェーダの力を使って頑張れば良いんだよ」
刹那は呆然としていた。目の前で繰り広げられている会話に、何よりもその会話を行っている二人のうち一人の姿に衝撃を受けて。
それは、いつぞやのクルジスで出会ったイノベイターだった。リボンズ・アルマーク。人違いというのはまず無いだろう。こんな無意味にヒラヒラした服を好きこのんで着る存在が、そう何人もいてたまるかというのが刹那の気持ちだった。それだけで判断するのもどうかと思うが、それは十分な判断材料だった。
そして、そこまで思えば自然と我に返る物である。
ハッと自意識を取り戻した刹那は、思わず叫んでいた。
「何故貴様がここにいるッ!?」
「おや……君はいつぞやの。久しいね」
「質問に答えろ!」
ツカツカと歩み寄って、刹那は相手に詰め寄ろうとしたが……しかし、もう一人のデヴァインと呼ばれていた、恐らくイノベイターであろう青年が自分たちの間に割り込んできたため、止まらざるを得なくなった。
彼の肩越しに相手を睨みながら考えるのは、今のトレミーの状況。
ガンダムは全部出せる。トレミーの方はまだ火器管制が完全ではない。支援機二機はそもそも傷ついていないので問題はない。クルーは全員いるし、この二人だけならばどうにか出来そうだった。
しかし……と刹那はふと、疑問を覚えた。
突然現れた彼ら。その目的とは何なのだろうか。
まさか二人だけでトレミーを乗っ取りに来たわけでもないだろうし、スパイにしたって面が割れているのがいては意味がない。ダブルオーが目的かと一瞬思ったが、先ほどのやりとりだとそういうワケでもなさそうだった。
「どうしてここにいるか、かい?」
困惑している刹那を眺めてだろう、リボンズはクスリと笑った。
「簡単なことだよ。ちょっと遊びに来たんだ」
「遊っ……!?」
「ホラ、君だってアレルヤを迎えに来てたじゃないか。なら分かるだろ?」
言われて、思い出すのはアレルヤが誘拐され、しばらくして帰ってきた日のことだった。正確にはアレルヤを迎えに行った日のこと、だが。
そういえば、確かに『遊びに行く』的な発言はあったような気がする。
気はするが。
…とりあえずどういう事か理解した刹那は脱力した。それはもう一気に。先ほどまでのまともな対応が、何だか恥ずかしくなるくらいには脱力した。
はぁ、と零れたのは溜息。
「……普通は来ないだろう。敵地だぞ」
「有言実行は僕のモットーさ」
「…そうだとしても、だ。お前はそう思わないか?」
もう危険はないと判断したのだろう、いつの間にか自分たちの間から脇に逸れていたデヴァインに視線をやると、彼は無表情ながらに口を開いた。
「別に。満場一致だったからな」
「そうか……満場一致?」
頷きかけて、ピタリと止まる。
満場一致。一体何の満場一致だ。
…考えるまでもなかった。
「まさかとは思うが」
笑みが引きつっているのを感じる。が、このくらいは仕方がないだろう。絶対に。完全に引きつっただけの顔じゃないだけ頑張っている方。
「イノベイター全員で来ている、などとは言わないな?」
「凄いね、何で分かったんだい?」
「……」
もう溜息も出なかった。
そんなこちらに構うことなく、クスクス笑いながら彼は続ける。
「今が一番良い時期だと思ったんだ。僕らの仕事もほとんど無いし、あっても簡単にできる物ばかりだと思ったからね。それに君たちは本調子じゃないから戦いはあまりしないだろうし、ならやっぱり今しかないじゃないか」
「……それはそうだが」
言っていることはもっともだと思う。遊びに来るなら、確かに今しかない。この気を逃せば本気の掃討作戦も始まるだろう。
が、遊びに来るという点が問題なのに。その点は全く触れていない、というか問題にしていないのはどうなのだろうか。実際に彼らから見ると問題でも何でもない、ごくごく当たり前のことなのだろうが。
ふと、今ならイノベイターを全員捕まえて監禁出来るんじゃないだろうか、という考えが浮かんだ。そうすれば彼らの動きを制限でき、上手く立ち回れば連邦をどうにか出来るかも知れない。まぁ、流石にコレは無理とは思うのだが。
だが、こんなとりとめもない思考も、次に彼が述べた言葉によって吹き飛んだ。
「あ、ちなみに僕ら、しばらく滞在するつもりだからよろしく」
というか、何気にこれって危ない場面でしたね。
だってダブルオーが奪われかけてるよ一番最初に。
奪われたらピンチじゃないですか…。