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おそらくティエリアの反応が普通なのだと思います。
そして微妙にアレルヤ最強伝説発動。
そんな感じの今回の話です。
「……まさか、本当に来るとは」
ティエリアが食堂に入った瞬間に知った、その事実によって受けたのは衝撃などという生やさしい物ではなかった。もっと酷い、もっと悲しい気持ちになる別の何か。とりあえず、かつて感じたことのない感覚だったとは、言うことが出来るだろう。
どうしてこんなヤツらと同類なのだろうか。赤の他人とは言わないから、せめて遠すぎる親戚当たりでいて欲しかった。
なのに同類なんて。
……などというこちらの嘆きなど知ってか知らずか、恐らく知らずだろうが、リジェネがポンとティエリアの肩に手を置いた。ニッコリとした笑み付きで。
「ティエリア、そういうわけだから暫くよろしく」
「謹んで辞退する」
即答。
そしてパシンと彼の手を払って、今はまだ二名欠けているというイノベイターたちの姿を睨め付ける。
「僕は君たちを信頼も信用もしていない。従って、よろしく、などと言われる言われもない。付け加えるならば今すぐ出て行って欲しいんだが」
「えぇぇ?さっき来たばっかりなのに?」
「当然だ。一日だけなら許してやろうかと思っていたが、何日も泊まるだと……?そんなこと、トレミーに乗っているクルーなら誰も許可するわけがないだろう!」
「アレルヤは良いって言ったわよ」
「彼は別だ。オレオレ詐欺にも引っかかりそうな人間だからな」
その上トレミー一のおっとり天然で、どこまでもお人好しなのだから。
キッパリと言い放つと、軽く頬を膨らませる…確か、ヒリング。
「何それ。私たちがアレルヤ騙してるって言いたいの?」
「そう聞こえなかったのか?何だ、案外耳が悪いな」
「へぇ…言うじゃないさ。じゃあ訊くけど、私たちがアレルヤを騙してると思う理由は?」
「敵。それだけで充分だろう」
そう口にすると、鋭く細められる目。
同時に、体中を刺すような敵意が感じられ、ティエリアは意識的に半歩前に出た。戦意を持ち始めた相手に対して、引かないという意思を見せつけるためである。こういう時は、引いてしまった方が負けなのだ。
ふと見れば、黙っているブリングも、いつもは無駄に明るく見えるリジェネでさえも、こちらに対して苛立ちを覚えているようだった。ということは……イノベイターに対して警戒を解かないソーマ・ピーリスも合わせ、こちらは二人なので二対三、か。
一触即発の、緊迫した一瞬が舞い降りる。
しかし。
「ちょっと待って!」
慌ててそれを止めに入ったアレルヤによって、その一瞬は儚く砕け散った。
そしてそれを感じたティエリアは呆然とした。
脆い。本当に脆かった。アレルヤが止めようとしたとしても、一触即発の雰囲気は消えないと予測していたというのに。実際、こちらは一瞬たりとも気を抜いていないし、今もそうであるというのに……これはまるで鶴の一声。彼の言葉によって、イノベイターたちが直ぐに戦意を収めたのには、驚きを通り越して呆然とするしかない。
そんなこちらを気にすることなく、アレルヤはイノベイターたちの方を向いていた。
「リジェネ、君は一応お客様なんだけれど、だからといって突然にあの態度はいけないよ。事前に『来ます』って言っていたわけでもないんだから、もう少し遠慮して」
「……うん」
「ヒリングは熱くなるのが速いよ。気持ちは分かるけどティエリアの言うことも正しいから、そこは忘れない」
「……はーい」
「ブリングはこういう時は事態を止めること。もうそれだけ」
「……分かった」
注意するアレルヤとシュンとしおらしく項垂れるイノベイターの姿に、ティエリアとソーマはゆっくりと顔を見合わせた。コレって一体、どこの母親と子供たち。
どうやらアレルヤは誘拐されていた間に、イノベイターたちの中での立場を確固としたものにしていたらしい。
恐るべし、である。
「ティエリアもティエリアだよ。忙しい中でも折角遊びに来てくれた人をあんな風に扱うなんてダメじゃないか」
「……いやだが」
「あぁやって言われて、嫌じゃないと思う人はいないよ」
「……あぁ、そうだな」
ティエリアは頷いた。頷くしかなかった。ただでさえイノベイターたちが反省の色を見せているというのに、自分だけ『悪くない』と言うのは問題があるように思えた。
「今後は気をつける」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
今度はしっかりと宣言すると、柔和な笑みが送られた。
それと共に流れる、穏やかな。
こうやって食堂に平和な空気が戻ってきた、その時。
「すまない。こちらにイノベイターはいるか?」
刹那がそう言いながら、疲れた表情で食堂に入ってきた。
後ろに、二人のイノベイターを引き連れて。
今まで、きっと刹那は一人で大変だっただろうと思います。
ティエリアが食堂に入った瞬間に知った、その事実によって受けたのは衝撃などという生やさしい物ではなかった。もっと酷い、もっと悲しい気持ちになる別の何か。とりあえず、かつて感じたことのない感覚だったとは、言うことが出来るだろう。
どうしてこんなヤツらと同類なのだろうか。赤の他人とは言わないから、せめて遠すぎる親戚当たりでいて欲しかった。
なのに同類なんて。
……などというこちらの嘆きなど知ってか知らずか、恐らく知らずだろうが、リジェネがポンとティエリアの肩に手を置いた。ニッコリとした笑み付きで。
「ティエリア、そういうわけだから暫くよろしく」
「謹んで辞退する」
即答。
そしてパシンと彼の手を払って、今はまだ二名欠けているというイノベイターたちの姿を睨め付ける。
「僕は君たちを信頼も信用もしていない。従って、よろしく、などと言われる言われもない。付け加えるならば今すぐ出て行って欲しいんだが」
「えぇぇ?さっき来たばっかりなのに?」
「当然だ。一日だけなら許してやろうかと思っていたが、何日も泊まるだと……?そんなこと、トレミーに乗っているクルーなら誰も許可するわけがないだろう!」
「アレルヤは良いって言ったわよ」
「彼は別だ。オレオレ詐欺にも引っかかりそうな人間だからな」
その上トレミー一のおっとり天然で、どこまでもお人好しなのだから。
キッパリと言い放つと、軽く頬を膨らませる…確か、ヒリング。
「何それ。私たちがアレルヤ騙してるって言いたいの?」
「そう聞こえなかったのか?何だ、案外耳が悪いな」
「へぇ…言うじゃないさ。じゃあ訊くけど、私たちがアレルヤを騙してると思う理由は?」
「敵。それだけで充分だろう」
そう口にすると、鋭く細められる目。
同時に、体中を刺すような敵意が感じられ、ティエリアは意識的に半歩前に出た。戦意を持ち始めた相手に対して、引かないという意思を見せつけるためである。こういう時は、引いてしまった方が負けなのだ。
ふと見れば、黙っているブリングも、いつもは無駄に明るく見えるリジェネでさえも、こちらに対して苛立ちを覚えているようだった。ということは……イノベイターに対して警戒を解かないソーマ・ピーリスも合わせ、こちらは二人なので二対三、か。
一触即発の、緊迫した一瞬が舞い降りる。
しかし。
「ちょっと待って!」
慌ててそれを止めに入ったアレルヤによって、その一瞬は儚く砕け散った。
そしてそれを感じたティエリアは呆然とした。
脆い。本当に脆かった。アレルヤが止めようとしたとしても、一触即発の雰囲気は消えないと予測していたというのに。実際、こちらは一瞬たりとも気を抜いていないし、今もそうであるというのに……これはまるで鶴の一声。彼の言葉によって、イノベイターたちが直ぐに戦意を収めたのには、驚きを通り越して呆然とするしかない。
そんなこちらを気にすることなく、アレルヤはイノベイターたちの方を向いていた。
「リジェネ、君は一応お客様なんだけれど、だからといって突然にあの態度はいけないよ。事前に『来ます』って言っていたわけでもないんだから、もう少し遠慮して」
「……うん」
「ヒリングは熱くなるのが速いよ。気持ちは分かるけどティエリアの言うことも正しいから、そこは忘れない」
「……はーい」
「ブリングはこういう時は事態を止めること。もうそれだけ」
「……分かった」
注意するアレルヤとシュンとしおらしく項垂れるイノベイターの姿に、ティエリアとソーマはゆっくりと顔を見合わせた。コレって一体、どこの母親と子供たち。
どうやらアレルヤは誘拐されていた間に、イノベイターたちの中での立場を確固としたものにしていたらしい。
恐るべし、である。
「ティエリアもティエリアだよ。忙しい中でも折角遊びに来てくれた人をあんな風に扱うなんてダメじゃないか」
「……いやだが」
「あぁやって言われて、嫌じゃないと思う人はいないよ」
「……あぁ、そうだな」
ティエリアは頷いた。頷くしかなかった。ただでさえイノベイターたちが反省の色を見せているというのに、自分だけ『悪くない』と言うのは問題があるように思えた。
「今後は気をつける」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
今度はしっかりと宣言すると、柔和な笑みが送られた。
それと共に流れる、穏やかな。
こうやって食堂に平和な空気が戻ってきた、その時。
「すまない。こちらにイノベイターはいるか?」
刹那がそう言いながら、疲れた表情で食堂に入ってきた。
後ろに、二人のイノベイターを引き連れて。
今まで、きっと刹那は一人で大変だっただろうと思います。
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