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リジェネは一人、自室で苛立ちを覚えていた。
理由など考える必要もない。
アイツ、だ。
「全く納得がいかないね……毎回毎回大切なところで来ては僕の邪魔を……今回だってそうだよ。アイツさえ来なければ、僕とあの子はまだ一緒にいれたハズなんだ」
しかし、アイツとあの子はふたりで一セットなので仕方がないと言えば、仕方がないと言えるのだろう。が、やはり認めたくはない。だって悔しいではないか。たったそれだけの理由であの子が向こう側に行くなんて。
はぁ、と息を吐いてベッドに横たわって目を開ければ、当然ながら移るのは白い天井。仮の住まいの天井である。いや、仮と言ってもそもそもリジェネには定住地はあまり無いのだけれども。
「本当に、納得いかないね…」
ティエリアは帰ってきた。それだけでも良しとするべきなのかもしれない。だけれど生憎、自分はとてもとても欲深いのだ。生きることに疲れて死のうとした不死者のように欲深い。誰もが望むソレを持ちながら、手放して失ったはずの『死』を得ようとしたかの不死者のように。
結局不死者は死ぬことも出来ず、今も永遠としてあり続けているのだけれど。
そしてあの子は、何度も生まれ変わりながら不死者…アイツと一緒にいるのだ。
これではアイツに創り出された自分の存在理由がないではないか。
それが気になるわけではなくて、ただ単に気に入らないだけなのである。
アイツがあの子の傍にいることが。
「だって酷いと思うんだよ…納得できない。どうしてじゃあ、僕は生み出されたというの?僕はどうしてここにいるというの…」
胸の辺りで祈るように手を握り合わせ、リジェネはゆっくりと瞳を閉じた。
瞼の裏に広がる光景は、遙か昔の物。
分かっている。分かっているとも。
自分が生み出されたのは、あの子が生まれ変わってくる前なのである。アイツはあの子が戻ってくるとは知らなかったのだ。だから自分を創り出したのだと。
分かっている。
分かっているからこそ憎らしい。
用が済めばお払い箱というその姿勢もそうだったし。
何よりも、あの子を独り占めしようとするその姿勢が憎たらしい。
この身はアイツから生み出された物。この意志も、この心……は多少の影響はあるだろう。殆どは自分の経験による物だろうとは思うのだが。しかしそれも疑わしくもある。何せ相手はアイツである。
が、その多少の影響、というのが問題なのだろう。
アイツがあの子を何よりも大切に思っているその想いが、残念ながらと言うべきだろう、自分にもある程度だが反映されてしまったのである。
「それを、貴方が知らないわけ無いよね…ねぇ?」
だって相手は全知全能に誰よりも近い存在だ。
リジェネはニィと口を歪めた。
「ねぇ?貴方はそう思うでしょう?そして、見ているんでしょう?」
貴方は僕を創り出したんだもの、動向は何となく知っているはずだ。
「ねぇ『世界』?一番最初の支配者階級?貴方は分かっているんでしょう?」