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多分、ホンモノはこの場所ののどこかにあるのだろうなと、ぼんやりと高い建物の屋根の上で思う。見えるのは都の町並み。それとも都だから都並みだろうか。
どちらにしろ、在ることは間違いなさそうだ。気配を感じるから。
自分は、アレがどこにあるのかは知らない。知る必要もないし、必要はなかった。
だいたい、アレを使わなければならなくなったら終わりなのだ。
アレ……すなわち、世界のコトワリを変えるための機関。
別の名を、『庵』。
他の庵と区別してそれは『王の庵』と呼ばれる庵。
『王』や『世界』が所有している『事象を改変する力』はあくまで人ビトやモノが起こした事象を変える力であり、最初から定まっている決まり事を変える力はない。それでもそれを行おうとするならば『王の庵』を使用するか、あるいは『黒の書』を使用するしかないのだった。
たとえば、呪いのように定められた『人形たちがそろうことはない』というコトワリ。
それは改変され、今では八名の人形たちが集いそれぞれが活動している。その内に、既に起きている一番最初の人形とも合流できるだろう。
他にも『死者がよみがえることがない』だとか、他にもいろいろなコトワリがある。それらはどれもが『普通の一般常識』として存在してるモノ。
そして『黒の書』。
使えるのは『王』のみの、書物。
ただし『王』が許可さえすれば『王』以外も使える、少しだけ一般向けの書物である。
取り出しや片付けは全て『王』に一任されるのだが。
それを使うときが、そろそろなのかもしれないと、ふと思う。
使う時が来れば終わりだという気持ちは一緒だが、だからこそ使うべきなのではないだろうかと思う。
全てに終焉を。
世界を滅ぼす必要はない。
人間が滅ぶ必要もない。
ヒトも、魔族も、月代もしかり。
ただ、それでも終焉は必要だろう。
ならばやることは、一つ。