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拍手再録です。




10.117



 『ハレルヤ』が生まれて、もう少しで四ヶ月が経つ。正確に言うと、彼が生まれてから117日もの日にちが過ぎていた。
「ったく……何でお前はこんなにトロいかねぇ……」
『うぅぅ……えっとその、ゴメンね……?』
「謝るくらいなら直せ、そのドジさ加減」
 最初は自分の中にいる、自分ではない自分のことが怖かった。今でもたまに怖いけれど、あの時は今以上に怖いと思った。彼の凶暴さだけが瞳に映って、それ以外が目に入っていなかったから。そんなものを探す余裕もなく、突然現れた『ハレルヤ』という存在とどうやって触れ合えばいいのかが分からなかった。
 けれども、もう殆ど四ヶ月が経つ。
 これだけの時間が経てば流石にアレルヤだって、ハレルヤについての考え方を改める。彼は確かに凶暴かも知れない。けれど、とっても優しいのだ。今だって、廊下でうっかりと転けてしまった自分と入れ替わって歩いている。これは、もう転けたりしないようにという彼からの配慮だ。
 優しいなぁと、アレルヤはクスクス笑う。彼が片割れで良かったと、まさか思える日が来るとは初日は思っていなかった。時間が経てば人の心や印象という物は綺麗に書き換わるのだと、アレルヤは今更のように知った気がする。
「とりあえず気ぃ付けろっての。良いか?俺らは単なるモルモットの一つ。だからアイツらにとって俺らは価値の何もない人形みたいなモン。と……ここまで言えば分かるよな?」
『うん……でも…』
「甘いことは言うなよ、アレルヤ。あの研究員どもが悪ぃんだしな。ったく……わざと足を引っかけて転かすとか、どこの幼児だよアイツら」
『鬱憤でも溜まってたのかなぁ……』
 こんな機関、ひいき目に見てもあまりいたいと思うような場所ではない。彼らがイライラとしていたとしても、それは別に不思議でも何でもなかった。
「……お前、少しは怒れよな」
『僕が怒る分まで君が怒ってるから大丈夫』
「何が大丈夫だ、それ」
 呆れたように嘆息する片割れに、アレルヤはクスリと笑った。
 本当に、大丈夫でも何でもない。

(2009/03/14)
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