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ほらよ、と帰ってきたハレルヤが放ったのは二つの球体だった。
ハロとHARO。この辺りをうろうろしていたのを先ほど確保……もとい保護した。
「ハロにHAROです!お久しぶりですー!って、どうしてこちらにいるです?」
「色々あったんだよ、色々と」
「その色々が気になるですぅ…」
「でも内緒」
「…ハプティズムその1さんはたまに意地悪ですぅ」
ぶぅっと頬をふくらませてミレイナは呟くが、ハレルヤから見ればまだアレルヤは性格が良い方である。というか、あんな過去を経て良くもまぁ、ここまでお人好しの性格が出来上がったと褒めてやりたいくらいなのだが。
そこは言わない約束かと思いながら、ハロとHAROを抱きしめているミレイナに視線をやる。喜ぶだろうとは推測していたが、まさかここまで喜ぶとは。意外も意外である。
「そんなに喜ぶもんか?」
「喜ぶに決まってるです。何と言ってもハロとHAROはミレイナが作ったですよ?」
「え」
その言葉に露骨な反応を見せたのはアレルヤだった。
驚き固まり、ミレイナの方をギギッと音を立てながら向いたのである。
「…イアンさんじゃなくて?」
「はいです。ミレイナの作です」
「そっか…そうなんだ……」
「お前、何でそんなに衝撃受けてんだ」
どこか呆然とした感じの片割れに呆れの籠もった視線を送ると、アレルヤはだって、と顔を伏せた。
「だってさ、今まで普通の女の子だと思ってたのに、既に仕事人だったんだよ?こういう時って、普通驚かない?」
「あぁ、そいういう驚きはねぇことはねぇけど」
そこまで驚くようなことだろうか。
その辺りはどうも釈然とはしなかった物の、そういうことならとハレルヤは言及するのは止めた。アレルヤの気持ちも何となくだが分かる。
ただの普通の女の子だと思っていた近所の少女が、実は既に仕事をプロ顔負けに行うことが出来るかもしれないとくれば、自称・特技は家事だけ、と、それだけのアレルヤが驚いても無理はない。ただ、そこはあくまで自称であり、実際は特技・家事、と書くことが出来るだけの実力はあるのだが。本人が気付かないのはお約束である。
「んで?何か変な能力でも付けてみたのか?」
「もちろんです!」
冗談半分で言った言葉に元気の良い肯定が返ってきた。にしても『もちろん』と来て、そう断言されると逆に不安になるのは……グラハムとの付き合いが長すぎるせいだろうか。彼と一緒にいると、その『もちろん』が非常に怖くなるのだが。
それはアレルヤも同じだったらしい。笑みを僅かばかり引きつらせて、ミレイナの方を、正確に言うとハロとHAROの方を見ていた。
「……例えば?」
「口をぱかって開いてビームを出せるです!」
「戦闘兵器!?」
「大丈夫です、ちゃんと力加減はハロたちが調整できますぅ」
つまり、ハロとHAROが手加減する気がなかった場合、手加減なしのビームが自分たちを襲うというわけだろうか。かなり大丈夫じゃない気がするのだが。
「…何でんなもん付けやがった」
「格好良いじゃないですか」