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毎日、というわけにはいかないでしょうが、出来るだけ継続して更新したいかも。
予定では、少なくとも土日祝日は休みますが。
002:さくらの花
ひらり、ひらりと舞う桜を、並盛中の屋上から眺める。ここからでも、校庭に生えている桜くらいなら観賞も可能だ。
昔はそこそこ好きだったけれど、今では忌々しい過去を思い出すしかない桜。綺麗なのだと思わなくはないけど、それでも忌々しさの方が強いのは間違いない。負けたばかりの頃なんて、桜を見た瞬間に薙ぎ倒そうとしたことさえあった、桜の太い幹を。
それでも月日というのは流れる物で、現在ではそこまでの不快感を桜に覚えることは少なくなっていた。その上、過去の自分があそこまで桜を毛嫌いしていた理由まで分からなくなってくると言う不思議な現象まで、起こっているのだ。
謎は深まるばかりだが、とりあえず。
「何で君がここにいるのか教えてくれる?」
「そんなの決まってるじゃないですか、恭弥君に会いに来たんですよ」
「去って」
スパンと切って帰すと、悲しげな表情でクローム…もとい骸がこちらを見た。紛らわしいから骸の時はちゃんと骸の姿出来て欲しいのだが。
「そんな冷たいこと言わないでください。ちゃんと並盛中の制服を調達してきたというのに……ここまでして潜入した僕の努力を無駄にするんですか?」
「制服って、それ幻術でしょ」
「おや、何故分かったんですか?」
「勘だよ」
というか、彼の今までの行動パターンで何か分かる。
はぁ、と息を吐いて雲雀は屋上のフェンスにもたれかかった。
「会いに来ただけならもう良いでしょ、会ったし。帰りなよ」
「酷いですよ恭弥君、何でそんなに冷たいんですか?」
「君相手だからね」
骸が相手ならば手加減なんて必要ない。その点だけ見れば、彼はある意味では付き合いやすい対象であるかもしれない。まぁ、誰を相手にしたところで手加減なんてする気は、毛頭無いのだけれども。
「…そういえば、桜が咲いているのでしたね」
「僕はてっきり、桜が咲いたから来たとか言い出すと思ったんだけど」
「僕らの出会いの象徴ですからねぇ」
何でこんなヤツとの出会いの象徴になってしまったのだろう。
何時の話?というのはツッコミ入れないでください。