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牡丹(ボタン)
花言葉:姉妹愛、壮麗、王者の風格、など

花言葉って何でこんなにピンポイントなのだろうか。
今回はフルカラー劇場から、白辺高校で、ニサイコとサイコなお話。




08:牡丹 (ボタン/姉妹愛、壮麗)



 サイコとの外出中、それが目に止まったのは偶然だった。
 一瞬どうしようかと悩んだ後、ニサイコは姉に「ちょっとごめんね」と断ってから、するりと人ごみから外れ、とある洋服店の前で立ち止まった。それから、じぃ、と、ショーウィンドウの中を見つめる。
 ガラスの向こう側では顔の無いマネキンが可愛らしい服を着て、それを見せびらかしているようなポーズを取っている。いや、実際に見せびらかしているのだろう。こんな素敵な服があるんだよ、と。そうして人の興味を引いて、店の中へと誘っているのだ。
 楽しげに話しながら二人の女性が店内に入っていくのを、何となく見送って、視線をショーウィンドウの方へと戻す。
 ふと気になった。このマネキンは、あたしのことも誘ってくれているのだろうか。
 相手は口を持たないから、どうなのかと尋ねても答えは返ってこない、とは分かってはいる。けれども、それがどう答えるのかが気になった。誘ってなどいないと、そっぽを向くのだろうか。それとも、その通りだと手を差し出してくれるのだろうか。
 もっとも、そのどちらにしても、ニサイコは店内に入らないだろう。入ったところで、どうしようもないことを知っているからだ。平均よりも遥かに大きなこの身体にピッタリと合う服は、なかなか見つからない。特に、女性向けの店であると。
 そのことに対する小さな恨み事はあるものの、そういった所も含めてニサイコは現状を受け入れていた。無いものは無いのだから、仕方がない。もっとも、それでもたまにこうやって洋服店の前で立ち止まってしまうのだから、諦めきれていない部分もあるのかもしれない。
 むぅ、と唸ってガラスから離れ、再び姉の隣に立つ。
 そんなニサイコとマネキンの服とを交互に見た後、サイコは微笑みを浮かべた。
「……ねぇ、ニサイコ。予定は変わるけど、次は手芸屋さんに行かない?」
 その言葉に、ニサイコは思わず瞬く。
「えっと、なんで?」
「布を買いたいの。洋服を作ろうと思ったから。……後で、好きなデザインを教えてね」
「……!」
 付け加えられた言葉に、一瞬、言葉が詰まる。
 それでも今直ぐ気持ちを伝えたくて、ニサイコはサイコに勢い良く抱きついた。
「わわっ……」
 よろめいた姉をぎゅっと抱きしめて、笑う。
「……ありがとう、大好きっ!」






サイコなら服の自作ぐらい出来ると思うんだ。
彼女らはやはりとっても大きいと思うので、いいなぁと思った服でもサイズがなくて困りそう。

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