マーモンに急かされるままに着替えて出てきた庭は、想像していたよりも悲惨な状況下に置かれていた。
大地は抉れ、花壇の土はまるで容赦もなく抉られたかのように飛び散り、花弁は踏みにじられたのか鮮やかさを失っている。木々は全てどうにか立っているのだと言わんばかりの状況で、あと一撃でも食らえば間違いなく倒れるのではないかと思わせるほどに、あちらこちらが窪み裂かれ灰となり、枝も減り緑の葉は殆ど消えている。そんな惨状の中で、すぐ傍に在る建物の壁の状況など考えるまでも視認するまでもないだろう。実際、建物に穴があいている姿は目を逸らしても逸らした先で否応なく見る事になった。
しかし、真に問題とすべきはそちらでは無い。
一番の問題は、そんなフィールドで思う存分暴れている人間どもだった。
何でこんな奴らがここにいるのだろうと思いながら、暴れ回る四つの影を眺めて息を吐き、同じく四つの影を見て呆れた表情を浮かべている大人に声をかける。
「おい、あれの四分の三はテメェのとこの奴らだろうが。どうにかしろ」
「……とは言いましてもね……流石に四対一はきついです」
「真・六弔花の中じゃ最強じゃなかったのか」
「最強だと思っていますが、同じく真・六弔花が二人いる上に六弔花の一人と貴方の所の幹部一人ですよ?手を出す気も失せると思いません?」
「知るか」
肩を竦める桔梗にそう言い捨てて、ベルフェゴール、ラジエル、ブルーベル、ザクロの四名を改めて見やる。
どうやら彼らは二対二の戦闘をしているらしいことが、しばらく眺めていると分かった。グループ分けとしてはベルフェゴールとブルーベル、ラジエルとザクロ、といった風だろうか。どうしてそんな組み合わせになったのか、多少気になる所であはるが、しかし。
これ以上建物を壊されるわけにはいかない。修理費は、割とかさむ。
「……どうせボンゴレ本部に全部肩代わりさせるくせに」
「煩ぇ。こんな事にいちいち金を使ってられるか」
「その意見にはまぁ、同感だけれどさ」
心を読むような真似をした赤子はそう言って息を吐き、ひらりと手を振った。
「とりあえず、ボス、あとよろしく。僕らには無理だから」
「……」
何と言うか、あれだ。
マーモンの給料は少し減らしてやっても良いかもしれない。