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309


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「……」
「……」

 ハレルヤとアレルヤは、ハロたちの恐るべき能力を全て聞き終えてから再び二つの球体を手にして……無言で彼らを眺めていた。眺めているしか出来なかった、と言う方が正しいかもしれない。ともかく、そうなるほどに彼ら二人の能力は凄すぎた。

 今まで何も深く考えることなく接してきた彼ら。アレルヤは置いておいて、自分はとりあえず何回か蹴り飛ばしたような記憶のある彼ら。
 そんな彼らが……まさか、こんな。

「……ハイテク兵器だったたぁな……」
「失礼な、です!ハロたちは平和なロボですぅ!」
「平和…なの?」
「はいです!」

 半信半疑のアレルヤに、力強く頷いてみせるミレイナ。
 彼女はどうやらハロたちが平和な存在だと……本気で信じ込んでいるらしい。あの数々の装備の存在を知っていて、一体どうして平和な存在だと思い込めるのか、ハレルヤには甚だ理解できないのだが。

 というか、ミレイナが作り親……であるはずだ。
 ならば装備の全てを初めから把握していて、その危険性もある程度は把握しているはず。
 それでも言うのか…『平和』などと…。
 今更ながらに知る、ミレイナの恐ろしい一面だった。

 あまり知りたくなかったと思いながら、抱え上げていたHAROを地面に恐る恐る降ろした。今からこんな事をやっても意味はないと思うが、そこは気分だ。そうでもしないとこれからが怖い。

「ハプティズムその2さん、どうかしたです?ハプティズムその2さんは、いつもはHAROをぼとんって落とすですよ?」
「あー……その、気分だ」
「そうですか、気分ですか」

 まさかHAROの戦闘力を知って、微妙にだろうと恐怖を覚えたと素直にはプライドに掛けて言うことも出来ず、ハレルヤは曖昧に答えて返答を濁した。
 納得してくれたのは行幸だろう。あまり突っ込まれたらごまかし切れそうにない

 アレルヤの方はハレルヤの気持ちを分かってくれているらしく、ハロを抱きしめながら困ったような笑みを浮かべていた。

「でも、まさかビーム打てるとかね……他にも能力の無効化とか、一度あった相手をサーチ出来る能力とか、相手の能力を跳ね返したりとかね」
「…普通有り得ねぇよな」

 何だか片っ端から思いついた事を実行していったような『ハイテク』っぷりだ。実行で来すぎていていっそ戦慄を覚える。

「……ちょっと訊くけど、どうやってこんなハイテク兵器……もといハイテクAIに出来たの?」
「あぁ、それはですねぇ」

 ビッと人差し指を伸ばしてミレイナはにこりと笑った。
 そして何でもないように、言った。

「動力の小さい、男の子から…ってハプティズムその1さんでしたっけ?とにかく彼からもらった原動力の石があるじゃないですか。あれを適当にいじってたら出来るようになったです!」
「……え、いじったの、あれ」
「はいです!」
「……マジかよ」

 それはあってはならないだろうと、ハレルヤは天を仰ぎ見たい気分になった。
 あの石……魔石は小さいながらも多大な力を持っている石だ。適当にいじるとエネルギーが一気に放出されて爆発する、なんてことも有り得る。
 よく生きているものだ。何だかミレイナに対して尊敬の意すら覚えてきそうだ。

 

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