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遅くなりましたが、企画品その一。マイスターが猫とかだったら、です。
全員を全員にはせず、刹那とティエに猫になってもらいました。
僕は猫だ。名前は大変不本意で認めたくないし気に入らないのだが、やむを得ず名乗っている『ティエリア』。全く、どうしてこの僕があんなヤツの考え出した名前を名乗らなければならないのだろうか、気に入らないと言ったら無い。
今日は、そんな酷く気に入らない僕の飼い主とその周辺についてお話ししよう。
彼の名は、ハレルヤ。ハレルヤ・ハプティズムという…まぁ、端的に言ってしまうとただの不良だ。口は悪いしケンカ速いし、そのくせたまに頭の回転が速かったりするから面倒だ。とっととケンカにでも何でも負けて、警察にでも捕まってしまえば良いのだ。そうすれば僕は彼の双子の方に引き取られて、悠々と素敵な生活を送ることが出来るだろうに。
ハレルヤの双子の名前はアレルヤ。僕と一緒に捨てられていた『刹那』を引き取った人間だ。本当に、刹那のヤツは幸運だと思う。悪魔のような性格のハレルヤではなく、天使のような性格のアレルヤに引き取られたのだから。
さて、そんな僕らだが、別に違う家に住んでいるわけではない。双子、ということでアレルヤとハレルヤは同居をしているから、僕と刹那も同じ家に住んでいる、ということになる。違うのはせいぜい夜にどちらの人間の部屋で眠るかくらいだが、その一点が酷く重大な話であることは、わざわざ述べなくても分かることだろう。
「刹那ー、ティエリアー、そろそろお昼の時間だよー」
……しかし、今この瞬間にはそんな区別も関係はない。
チリンと首につけた鈴を鳴らしながら、僕は僕を呼ぶアレルヤの声に従ってリビングへと足を運んだ。見れば、刹那も同じように向かっている。
夜、寝るとき以外はこうやって僕もアレルヤと一緒いいることが出来る。それが何とも代え難いほどの救いであるように思えるのは、決して大げさすぎる事ではないだろう。何せ、僕の飼い主はハレルヤだ。
「…そういえば、聞いたか?」
「何をだ」
リビングでキャットフードを食べていると、ふと刹那が言ったので、僕はそちらに意識を向けた。今日は何か特別に言うような行事は無かったように思うのだが……気のせい、あるいは僕の思い違いだっただろうか。
そんなことを思っていると分かっているのだろう、急に決まった話らしいが、と刹那は前置きをした。
「今日、ディランディどもが来るらしい」
「何?」
「そして不幸なことに、今日はハレルヤには一日中かかるバイトが入っている」
淡々と告げる刹那の言葉が指す事実に、僕はチッと舌打ちをしたい気分になった。僕の飼い主は気に入らない人間だが、こういう時はブラコンの本領発揮で結構良い仕事をするのだが……肝心なところで使えない。
にしても、こんな日にやって来るとは。狙っての行動であるとしか思えない。
僕はあちらの双子を忌々しく思いながら、前足で首の後ろを掻いた。
「アイツらも懲りないな…何度顔を引っ掻いてやったと思っているんだ」
「最低でも二桁は行っているはずだが」
「普通は諦めないか?」
「それで諦めたら負けなのだろう、きっと」
「……何に負けるんだ?」
「そこまでは知らない」
そうして始まるのは、刹那との作戦会議だ。
今回はどうやってディランディたちを追い出そうか、アレルヤにばれないようにするにはどうしたら良いだろうか、等々、考えるべき事はいくらでもある。特にアレルヤにばれるのは問題だ。心配をかける上に、今後の妨害工作が難しくなる。
こう思うと、僕らとアレルヤの種族が違うのは感謝すべき箇所なのかもしれない。僕と刹那が話していても内容が分からないアレルヤは、僕らが仲良くしているとしか見えないからのんきに微笑みなんて浮かべていて。彼はそのままが一番だと思うが、僕らの話している内容を耳にしたらどんな反応をするだろうと思うと…ちょっと気になるというか。
しかし、今はそれよりもディランディどもをどうするか、である。
「とりあえず玄関先にスタンバイしておくか?」
「だが……そこでやったらアレルヤにも目撃される可能性がある。いつもはハレルヤがそれとなく出迎えの役割を奪うから良い物の…」
「ではそうだな…リビングにこのまま待機をして、アレルヤが茶菓子を出しに行く隙を突いてディランディどもを、というのは」
「それが無難だな」
と、今後の方針が決まったところで、呼び鈴が鳴った。
「あ…もう来たのかな…刹那、ティエリア、お客様を迎えてくるから大人しくしててね?」
玄関に向かおうとするアレルヤに鳴き声で答え、去っていく背中を見送って、刹那と二人、頷きあった。
これから数分後、作戦を開始する。
作戦行動の目標はもちろん……。
「今日こそニールとライルを叩きのめすぞ」
「了解した。目標を駆逐する」
こんな感じで攻防が続いていく感じ。
対象は場合によってはディランディでなくハレルヤですよ。