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舞いって言われて即「剣舞」が浮かんでそれが離れなくなったという。
そんな経緯で出来た話です。
010:舞い
「剣舞?」
「うん、そうなんだ」
書類を差し出しながら、綱吉は頷いた。
「何かね、今度の会食の場でね、そういうことをやってもらうことになって」
「何でまた?今まで一度もなかったよな、そーいうこと」
「だからこそ、今回やるって話にされちゃったんだよ……ごめん」
「ツナが謝ること無いって。俺は気にしてないしな。…けど」
ぴら、と書類を一枚めくって山本は困ったように笑った。
彼の言うことは分かる。彼が協力してくれるなんて思えない。
「…スクアーロもやんの?」
「……ちょっと色々とあって、二大剣豪の剣舞が見たいってね、取引先の人が言い出して。見せてあげたらこっちに良い条件で取引をやってくれるって話になって」
「やんなかったら取引に応じないっていうパターン?」
「そういうこと」
ちょっと窶れた感じで頷く。実際、その条件をどうにか降ろしてもらおうとやっきになったのに実を結ばなかったために、少しばかりのダメージは受けている。
書類を置いて、山本はお疲れ様という様に綱吉の肩に手を置いた。
「……ツナも大変なのな」
同情的な山本の言葉が、今はとてもありがたい。
…どうして自分なんて人の上に立って指示するのが苦手な人間が、こうしてマフィアのボスになっているんだろうと何度思っただろう。けれど、皆のおかげでそこそこ頑張れているし、これといって大きな問題も起きていない。
本当にみんな様々である。
「でね、一番の問題はこの取引がとても重要な物じゃないって事。もちろん成功させるに越したことはないんだけどさ、そこまでしなくても損失がないんだよね」
「そーなると、絶対にやってくんないよな」
「でしょ?だから困るんだよね」
どうせなら、これが絶対に失敗できない取引だったら良かったのに。あるいは取引相手がこんな変なことを思いつかなければ良かったのに。
……山本とスクアーロの剣舞、見てみたいと思わなくはないけど。
ごめん、むしろ私が見たいです。
…途中から本気の戦闘になりそうな予感はありますが。