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以前に上げてた現代パロの続編…です。
あれで終わりって言ったくせにね!
多分おそらくこれで終わるはず。間違いはないと思われます、今回は。
その後、みたいな話、です。
そして正直ロックオン(ニール)を出したかっただけかもしれない。
18.心のアルバム
「弟?」
「えぇ。随分と歳は離れているんですけれど、一人」
クスリと笑いながら、アレルヤは言った。
ここは大学の中にあるカフェのテラス。日当たりが良く冬場もポカポカとしていると好評のテラスである。今は殆どの生徒か授業の時間中であることも相まって、客の姿は全くと言っていい程無い。
そこでニールはアレルヤと一緒にノンビリとした時を味わっていた。
ニールはこの大学の文学部の生徒で、アレルヤもまた同様に。ただし自分と違ってアレルヤは『途中から突然に』文学部の生徒として存在を始めたという、実に不思議な存在だった。ハレルヤの方は医学部で、これまた突然の存在し始めた生徒である。
裏取引をしたとか、脅しを掛けたとか、妙なコネを使ったのだとか、色々な噂が飛び交うが、そんな物はあまり意味がないと自分は思っている。話してみれば分かるのだが、二人は少なくとも悪人ではない。ならばそれで十分ではないか。
そして、少なくとも悪人ではないとニールが確信しているアレルヤは、懐かしげに表情を緩ませながら言葉を続けた。
「ティエリアっていうんですけど、とても僕に懐いてくれてたんです。小学生なのに株なんてやったりして……あ、もちろん今は小学生じゃないですし、歳は中学を卒業していても変じゃないくらいですよ」
「どんなヤツなんだ?」
「そうですねぇ……」
何気なく問いかけてみると、顎に手を当てて考え込み始めるアレルヤ。
そんなに難しい質問をしたつもりはなかったのだが、どうにも彼には考え込むような質問だったらしい。変なところで真面目な、そう言うところも纏めて好印象だけど、と軽く笑いながらコーヒーを啜っていると、ポツリと零された言葉に飲んでいたソレを吹きかけた。
何故なら、彼は何気ない様子でこんなことを言ったのだ。
「目的のためには兄を殺すことも躊躇わない子、かな?」
……有り得ない。本気で思った。
噎せて、最終的には気管にまで入ったらしく、しばらくゴホゴホとしていると、アレルヤが慌てた様子で席を立ってこちらに回り込んで、優しい手つきで背中をさすってくれた。歩くこと…というか動くこと全般が苦手なのだと言っていたのに。やっぱり彼は良いヤツ、である。
「ニール、大丈夫ですか!?」
「けほっ……あ…まぁ、な……落ち着いた。サンキュ」
背中をさすってくれた事に対して礼を言って、再びアレルヤが席に着くのを待ってから、ニールは口を開いた。
「てーか……今の言葉、冗談とかじゃない…よな?」
「はい。実際にハレルヤは殺され掛けましたし」
あぁ、兄というのはハレルヤの事。
半ば推測できていたこととはいえ、実際に口にされるとすとんとそれは落ち着いた。先ほど『懐かれていた』と言っていたし、となれば殺され掛かるのはハレルヤくらいしかいないだろう。他にも兄弟がいたのならば話は別だが。
凄い弟だと、ニールは空を仰ぎ見た。青い空だったが、それは衝撃を緩めてくれることもなく単なる空のままだった。むしろ青すぎる青を見て、虚しい気持ちにすらなる。
「……その弟さん、どうなったわけ」
「捕まって、それ以来会ってません。面会しようにも施設の場所すら教えてもらえない徹底ぶりで……ちょっと悲しいですね」
「悲しいって、お前」
喩え弟であっても半身を殺そうとした、相手に会えないことが。
悲しい?
憎むなら分かるが、そこでどうして悲哀が出る。
「それ……理解、出来ないぜ」
「でしょうね。僕の片割れも同じように言っていましたよ。理解できない、有り得ないって。けれど……今でもまだ、彼は僕の大切な弟なんです」
「大好きってか?」
何かを諦めながら訊けば、どうでしょう、と、こちらには快い返事は返ってこなかった。
おや、と思ってニールは改めてアレルヤを見た。眉を寄せて言葉を選んでいるらしい彼は、どうやら……悩んでいるようだ。答えが出てこないのだろう。
「大切なのは分かるんです。けれど…好きかと言われると、断定は避けます。ハッキリと言い切れない、から……思い出す彼はいつも笑顔で、それを憎むことは出来ないだけかも」
「複雑なんだな」
「そういうこと……でしょうか」
苦しそうに笑って、でも、と彼は付け加えた。
「いい加減、思い出の中の彼でなくて本物の彼にも会いたいです。だって、何だかんだと言って彼も僕の兄弟ですから。こうやって言って、いつもハレルヤには怒られてますけど……それが本心なんです」
後味の悪いエンドってこういう事を言うんでしょうか…ね。
ニールを出したかった理由は、彼以外の一期マイスターが既に現パロに出てたから。刹那も前回出たから、出ていないのは彼だけだったのですよ。