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021から少し続いてる感じです。たまーに、こうやって続いてたりするので注意でしょうか。続いていても別に読めるとは思うのですが。
022:夜
「スクアーロ、こんなところにいたの?」
「マーモンかぁ?」
「どうしてこんな場所にいるんだい、君」
この質問は、きっとさほど妙な物ではないだろうとマーモンは確信していた。
何せ、ここはヴァリアー本部の屋根の上。それに付け加えて言うと、理由は分からないがスクアーロは気配を消してここにいたのだ。しかも、自分でも辛うじて気付けるくらいしかない気配で。そこまでする必要があるとは到底思えないというのに。
ワケが分からないやと思いながら、黙ってちょこんと座っていたスクアーロの膝の上に降りた。理由なんて無い。単なる習慣だ。
その体勢から、スクアーロを見上げて尋ねる。
「で、理由は一体何?」
「今日は満月だろ?それに雲もねぇからなぁ、月見にはもってこいじゃねぇか?」
「確かにそうかも。団子がないのが惜しいところだね。あとススキ」
「う゛お゛ぉい……ここはイタリアだぞぉ?」
ジャッポーネじゃねぇよ。
そう続けて、スクアーロはマーモンをギュッと抱きしめた。
力加減は程々で、抱きしめられているマーモンはそれ程苦しいとも思わなかった。せいぜい、少し暖かいと思う程度。寒さしかない夜に、この暖かさはちょっとだけ有りがたいと思った。スクアーロの体温は低い方だけれど、全く無いワケではないのだ。有るのと無いのとでは、有る方が断然に良い。
「つーか、マーモンは寝なくていいのかぁ?」
「……それに似た言葉は、さっきルッスーリアからも聞いたよ」
こんなに子供扱いされるなんて、と少し嘆きたくなった。君たちは他の人たちよりよくよく知っているだろう、僕の正体を。決して『子供』なんて可愛らしい物ではないことくらい、理解しているはずだ。
「僕はそんなにたくさん子供扱いされるほど、子供ではないつもりだけど」
「良いじゃねぇか。甘やかされている内は黙って甘やかされといた方が得だぜぇ?」
得、という言葉にピクリと肩を揺らす自分が恨めしい。
とりあえず……笑うスクアーロをフードの下から軽く睨んでおいた。
「…僕は子供じゃないもの。得だろうと複雑だよ」
「あ゛ぁ゛、子供じゃなくて赤ん坊だな」
「そーいう話じゃ無くって!」
ちなみに気配を消していたのは、気配が煩くて皆が寝れないのを避けるため、とかね。
何か暗殺部隊だし、そういうのってありそうじゃありませんか?
…なんて。