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式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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凄く暗めの話…。
多分、まだ施設にいる頃の話しです。




18.意味なんて無い







『助けを求める』という行為が、どれ程無意味かを知っている。



 部屋の片隅で膝を抱えて座り込んでいる片割れを、ハレルヤはただ何も言わず、何もせずに見下ろしていた。見下ろす、というのもあくまで感覚の話で、本当は彼と同じ行動を取っていることになっているのだが。何せ、自分たちは同じ体を共有する者同士。片割れの行動は自分の行動だ。
 だから、自分も膝を抱えて座り込んでいると言うことになるのだが、それはあまり認めたい事柄ではなかった。自分は片割れとは違って落ち込みなどしていない。絶望も抱いていない。そんな物、抱く余地など無いのだ。
 落ち込むというのは何かを期待するから。
 絶望を抱くのは何かを願っているから。
 生憎と、ハレルヤは期待も願いも持っていない。ただ、この手の中にあるのは『現実』という冷たく暗い檻だけである。



『許しを請う』という行為が、どれ程無意味かを知っている。



 ごめんなさいごめんなさいと、一体何度言えば自分の罪は消えて無くなるのだろう。
 無くならないと、思いながらもアレルヤは知っていた。罪は、自分が存在することでもどんどんと、増えていっているのだから。
 それに元々、こんな存在が存在することが許されるとも思っていない。許されるには自分を許してくれる誰かが必要だが、この場所にそんなことをしてくれる誰かがいるとも思えない。それに、自分だけ許されてもダメなのだ。
 アレルヤには、ハレルヤがいる。
 許されるのだとしたら自分だけでなく、ハレルヤも許されなくてはならない。そうでなくては公平ではない。アレルヤはハレルヤで、ハレルヤはアレルヤ。片方が許されなければもう片方も同様に。そんな自分たち。
 許されることは死んでも有り得ないと、その事実だけが手に残る。



『夢を見る』という行為が、どれ程無意味かを知っている。



「ねぇ、ハレルヤ」
『何だよ』
「僕ね、ここから出られたら海に行ってみたいんだ」
『そりゃまた。あんなでけぇだけの水たまりに何の用事だよ』
「水たまりって……人間が生まれたのは海から、なんでしょう?」
『あー、そういやそんな話もあったな』
「だから気になって」
『生まれた場所に帰りたいってか?』
「そんなのじゃ、無いけど」
『似たようなモンなんだろ?良いじゃねぇか…俺は海に行ったら魚食いてぇな』
「魚って…何かそれは違うんじゃない?」
『言うだけタダだろ』
「それはそうだけど…でも、出来たらいいのにね」
『ま、言うだけで結局は無理だけどな』



『想う事』という行為が、どれ程無意味かを知っている。








あの施設そのものに、希望なんてあったとは思えないから。
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