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何となくお題のテーマが難しかったんですけど、とりあえずこれで落ち着きました。
そういう感じの話。
030:縋りつけるもの
撃たれた箇所を確認すれば、どうやら弾は抜けているようで放っておいても問題はないようだった。あと、色々と傷ついていたけれどどれもこれも問題ないような物ばかりで、これなら大丈夫だと思える物ばかりだった。
敵はもういない。いないからこそ血みどろの状態で、こうやって地面の上に仰向けになって寝ころんでいられるのだ。敵がいるのにこんなことをしたら良い的である。
あぁ、けど少し問題発生。
貧血らしくて、フラフラして動けそうにない。
「うーん……王子としたことが失敗」
おおかた、血が流れるのも無視して動いたのだろう。だろう、というのは血が流れた……つまり撃たれた瞬間にいつものように『キレた状態』になったため、状況の把握が全く出来ていないからである。
あっても困らない性癖だけれど、こういうときは少し困る、気がする。
どうしようかと悩んでいたら、不意に顔の上にかかる黒い影。
「あ、ボス」
「テメェは何やってやがんだ」
「貧血で倒れてんの」
起こしてー、と手を上げると自分で起きろ、と軽く弾かれた。残念。
そういえば今回の任務は珍しくボスと一緒だったなぁと思い、どうしてそんなことになったんだったかと首を傾げ……思い出した。あの鮫が面倒がるボスを任務につかせたのだ。たまには外で思い切り動いてこいと。最近は書類整理が主だったから、こういうのででも少しは気分転換をと思ったのだろう。
実際に気分転換は成功した……ように見える。出る前はイライラがかなり際どいところまで溜まっていたようだが、今は少しは減っているようだから。
だから、こういうときでもないと手を引いて起こしてもらうなんて出来ない。
「ボースー、良いじゃん今回くらいさー」
「……チッ」
仕方がない、と言わんばかりにそれでも手を引いてくれたザンザスは、直ぐさま手を離して先に先にと行ってしまった。
その背を見ながら、これこそ仕方がない事かとベルフェゴールは少しだけ肩をすくめた。ヴァリアーの中で唯一と言っていいくらい安心して頼りに出来るあの背中の持ち主は、それでも中々その背に縋らしてくれない。
ベルフェゴールが、唯一頼っても良いと思ってるのがボスとかだったら何か、良いかもしれない。他の人にも頼ってるけど、やっぱりボスが一番頼れるというか。ていうか、ヴァリアー全員そう思ってればいいよ。
ただし、頼らしてもらえるかは気分とか諸々によるので何とも。