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久しいな…向日葵のお題も。
なんて言うか、中々思いつかないんだよネタがね…お題って何気に難しい。
そして、話の中では普通にソーマリーが会話してます。けど、出来そうだし良いですよね。
07.五月病
朝、いつまで経っても起きてこないアレルヤに首を傾げながら、マリーはその彼の部屋の前までやって来ていた。
コンコン、と軽くノックをしても反応がないのを見て、まだ寝ているのだろうと確信を持った。が……どうしよう、起こすべきだろうか。今日は何もないし、最近色々と忙しそうだったから休ませてあげたいのだけれど。
『起こせばいいだろう』
そんな時、頭の中で響いたのはソーマの声だった。
彼女のイメージは呆れたような表情で腕を組んで、こちらをこれまた呆れたような目で見ていた。…そんなに呆れられるようなことをしただろうか。
『お前、あの男に対して甘すぎないか?』
「そうかしら?普通だと思うわ」
『軍で寝坊なんてしてみると良い、あっという間に罰が来るぞ?』
「それはまぁ、軍だものね」
軍というのは規律に厳しい。そのくらいはマリーだって分かっているし、よくよく考えたら機関にいたときもそのようなものだったと、アレルヤが機関にいた頃に教えてくれたこともあったのだ。結局そう言う場所は、規律という物を大切にしている、というだけのことなのだろう。
だがしかし、ここは軍ではないのだ。
軍以上に大変なことばかりを行っているCB。付け加えてここは私設武装組織、なのだから、何もかも軍のようにはいかないだろう。
何よりも、CBと軍とでは人員に対する差まである。軍では十人二十人の人数を割ける事柄でも、こちらでは一人や二人で行わなければならないことだってあるのだ。その苦労や負担は驚くものがある。
だから、こういう日くらいは。
「…それでも、やっぱり休ませてあげたいの」
『ダメだな。起こせ』
…意見は変えてくれないらしい。
苦笑を浮かべ、これは言うことを聞かないといけないんだろうと判断したマリーは、ドアの直ぐ横にあった機器へと暗証番号を打ち込み、開いたドアから中へと入った。
そして案の定、見えるのはまだ眠っているアレルヤの姿。
彼の、とても穏やかな寝顔を見て、マリーは思わずソーマに問い直していた。
「…起こさないとダメなの?」
『当然だ』
「……でも、やっぱり私には出来そうにな…」
『なら私がやる』
ソーマの言葉に、マリーは彼女がアレルヤを起こすときの光景を思い浮かべた。
浮かべて……阻止しなければと本気で思った。鳩尾に肘とか踵とか、他にも色々ととにかく痛そうな事態にばかり思考が行く。
そんな物騒なのはちょっと遠慮したい。
「貴方がやるくらいなら私がやるわ」
『……なんだその言い方は』
「だって貴方にやらせると怖いもの」
さらりと理由を述べて、マリーはアレルヤが寝ている台に近寄って、肩を軽く揺すった。
「アレルヤ、朝よ」
「ん…マリー……?」
少しは目を覚ましたらしいアレルヤがうっすらと目を開くが、直ぐにゴロンと体を反転させてこちらから背を向けてしまう。布団にはくるまったまま、である。
「あと五分…」
「それで十分二十分って増えていくんでしょう?それはダメ」
「……何かか今日ね…何かやる気が全体的に起きなくて……」
「あら」
それはちょっと問題では。
恐る恐るとソーマの方に意識を向けると……彼女は切れる寸前十秒前、というところだった。これ以上の刺激を与えたら間違いなく破裂するだろう。
それもそれで良いかもしれないと思案していると、それにね、とアレルヤが付け加え得るように言った。ちなみに、彼はまだこちらに背を向けているままである。
「ハレルヤも……それで良いって言ってるし…」
『……コイツ、軽くしめて良いか』
「ダメよソーマ」
アレルヤにとってのハレルヤの存在の大きさは良く知っている。彼のお陰で今まで生き延びることが出来た、と笑っていたアレルヤ。そんな彼が『良い』と言ってしまったのなら、彼はとにかく意見も変えないだろう。
困ったものだと次の言葉を紡ぎ倦ねていると、じゃあ寝るからね、という声が聞こえてきた。二度寝の決行は今すぐらしい。
これは時間軸どのくらいだろうか…最終決戦が終わって少しくらいの時、かな。
まだ巡礼に出てない、その前くらいの話かも。