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番外編・3
「オーガンダム、お前に弟妹を作ることになるかもしれない」
「……それは?」
突然どうしたのだろうと、私はお父様を見上げた。
お父様は相変わらず穏やかな表情を浮かべていて、別にソレが深刻な問題があったが故の提案ではないと容易に分かった。だが、それが分かったところで言い出した理由は分からない。首はかしげられるばかりである。
すると、直ぐ傍から解説が入った。
お父様ではない。お父様と一緒に、先ほどまで離していた『王』ではない方の来客者だった。正直、不良に見えなくもない青年である。
「俺が頼んだ。もしものためにってな」
「何故ですか?話が見えません」
「オーガンダムは知らないかもしれないけれどね」
『王』がもう一人の言葉を引き継いだ。
どこか悲しげに笑いながら。
「君はね、とても特別な存在なんだ」
「……特別?」
「そう。君は『世界』に対抗できる力を持つんだ。だって…」
つい、と『王』は私の胸……丁度、私の『核』、つまり心臓に近いモノが入っている部分を指した。やはり表情は悲しげだ。
「君の胸に入っているその完全な形の『魔石』はね、とても強い力を持っていて、それでいて『世界』には属さない物質なんだ」
「…『世界』に属さない?」
では一体、どこに属すというのだろう。異世界でもあるというのか。
再度首をかしげると、上から降ってくる温かな手。お父様の手だ。
「オーガンダム、あまり彼を困らせるモノではないよ」
「…困ってしまったんですか?」
「うん、まぁ…ちょっとは」
曖昧に笑う『王』に、私はとても申し訳なく思った。彼はとても良いヒトだというのに、なのに私の不注意によって困らせてしまったのだ。
私は素直に謝ることにした。
「申し訳ありません、『王』。今度から気をつけます」
「いや、そんなに畏まらなくてもいいんだよ?」
「ですが……」
「ちょっと待て」
食い下がろうとしたら、横から話の腰を折られた。
お父様がこのようなことをするわけがなく、言うまでもなく犯人はもう一人の来客だった…とても驚いた顔をした。
「お前、コイツにそんなこと教えたのか?」
「まぁね。呼び方を知らないのも大変かと思って」
「…ってことは何だ?俺も言った方がいいのか?」
マジかよ、と頭をわしゃわしゃと掻いて、彼は……困ったような顔をした。本当に迷っているらしい。離すか、黙るか。
結果。
「おい」
「何でしょう」
「俺のことは『世界』で良い」
彼…『世界』はそう言った。
何でもないように言われたのだが、それはとても重要な事な気がした。