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何気にこの二人で書くのは初めてだなぁ、と思いましたが。
初めてだったせいか、かなり大変でしたよこれ…。
その日、ガイアは教室にはいると直ぐにデスティニーの姿を探した。理由は分からないけれど、彼はいつも来るのが早いから多分もう、中にいるはずだった。
まばらだが微妙に人数が揃っている教室の中、視線が彷徨ったのは数秒だけ。直ぐに目当ての顔を見つけて、ガイアは彼の方へと足を運んだ。その途中で自分の席を通り過ぎたけれど、鞄の中身を彼に渡さなければならないから置かずにそのまま持って行って。
「…デスティニー!」
「ん?」
「おはよう」
「おはよう…どうかしたのか?」
「えっとね…これ」
そう言いながら、ガイアはデスティニーにラッピングしてある包みを渡した。
大人しくそれを受け取りながらも、え?と困惑した表情で事態について来れてない彼に、それはそうだろうなぁと思う。唐突だし、何で自分がこれを渡そうとしているのか、とっさには考えつかないだろう。少し考えたら分かるかもしれないけれど、どっちかというと忘れられている方が可能性としては高いに違いない。だから教えなければずっと気付かないままだろう。
しかし別に、自分は彼へと意地悪をしたいわけではないのだ。これ以上困らせないように、ちゃんと理由は直ぐに説明することにする。
「ほら、この前話したでしょう?部活で何か作ったらお裾分けするって」
ね?と微笑むと、戸惑いから驚きに変わる彼の表情。
「…覚えてたのか?」
「うん。デスティニーとこういう約束って滅多にしないから、何となく印象に残って覚えてたみたい……というか」
「……?」
「覚えててくれたんだね、デスティニーも」
忘れられてると思っていたのに、嬉しい誤算だった。
嬉しくて思わず笑みを浮かべると、いや、とデスティニーは頬を掻きながら呟いた。
「約束を取り付けたのはオレの方からだしな、覚えているのは当然じゃないか?」
「そうかなぁ…でも、忘れちゃったりもあると思うよ?結構前にした約束だし」
「そうか?」
「多分ね」
口約束なんて多分、そういうものだ。
だからその話にはもう触れないことにして、ガイアはデスティニーに渡ったラッピング済みの包みを指さす。
「昨日はね、クッキーを焼いたの。チョコチップのクッキーなんだけど…あ、甘い物とか大丈夫だったよね?」
「甘すぎるんじゃなければな。ま、今回はそう言うことは無いんだろ?」
「うん。口に合うかは分からないんだけど…」
そういえばデスティニーの口に、この菓子の味は合うのだろうか。ガイアは大丈夫だと思ったのだけれど、彼も同じように思ってくれるだろうか?今まで菓子のお裾分けなんて、兄にだとか、アビスやカオスくらいにしかしたことがないことを思い出す。何だか……少し不安になってきた。
どうなのだろう?そう思っている間にデスティニーは丁寧に包みを開き、開いたそれの中から一つの小さなクッキーを取りだして口に放り込んだ。
突然の反応に一瞬反応が遅れたが、直ぐ我に返る。
デスティニーが、菓子を食べた。
「……ど…どう?美味しい?」
ガイアは怖ず怖ずと味の感想を尋ねた。先ほど感じた不安が若干ほど大きくなっているような気がしたが、それに構う暇もなく、気付いたときには口からその言葉がこぼれていたのである。
美味しくない何て言われたらどうしようと軽く俯いていると、ぽんと上から手が降ってきた。……暖かい。
「美味いよ。ありがとな」
「…うぅん、約束だもの…」
その言葉に安堵を覚えながら、ガイアは顔を上げて微笑んだ。
~その頃の廊下~
「青春だねー。何か見てて凄く初々しい気がする」
「デスティニーも満更じゃないみたいだし…あの二人って意外とお似合いかな?」
「いや、そうだとしても、その前にトラさんをどうにかしないと」
「カオスもそう思うか。ガイア攻略にはまずそこだな」
「攻略って……」
「でもやっぱり当人の気持ちとかが大事だと思うよ?」
「それが無ければ始まらないな、確かに」
「いや、あんたらまずそれを確認しろよ…攻略とか言う前に」
廊下のみなさんはザクウォーリア、レジェンド、カオス、アビスの四名。
運命と大地(黒)の二人はほのぼの担当行けそうな予感。