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ガンプラは組み立てるの楽しいよねって話。
…じゃありませんが、近い物はあるかもしれません。
14.ショルダーバック
「……刹那、それ、何?」
「肩からかける形式のバッグだが」
「いや……そうじゃなくってね…」
「…?なら何だ?」
そのまま素直に言い出せば良いだろうに何故か躊躇っている様子の片割れと、片割れが何を思って問いかけを発しているのか分かってもいないガンダムオタクを見ていて……ハレルヤは黙っていられなくなった。
というか、この状況で何も言わずにいれるわけもないだろう、誰でも。
「チビガキ」
「違う。俺はガンダムだ」
「俺はんな夢みてぇな言を聞きてぇんじゃねぇんだよ。それよりも、だ」
ずびしっと刹那の肩から掛かっているバッグに指を突きつけて、言う。
「このバッグの異様なふくらみは何だ?」
「異様じゃない、ガンプラだ」
「…一体どれだけ買ってきたの、刹那」
「ざっと五箱くらいか。少ない方だな」
「十分多いだろーがッ!」
叫んでから、ハレルヤは眉間の皺を揉みほぐした。
全く、これ以上部屋にガンプラをあふれさせて何をどうするつもりなのか、この一年生は。流石に生徒会だけあって部屋の整理整頓は出来ていると思うのだが、それでも彼のペースでガンプラを買い続けていては、いずれそれらを飾っている本棚の中にも入りきらずに床の上まで浸食していくのではないだろうか。
冗談抜きで、実際に起こりそうだから怖い話だ。
……そういえば、数学教師・グラハムの部屋では既にそれに近い事態が起こっているらしい。カタギリがぼやいていた。浸食スピードの差は収入の差だけでなく、集め出した年代もあるだろうから、刹那も今すぐあのようにはならないと思うのだが。
なったら困る。自分はともかくとして、生徒会にはアレルヤもいるのだ。刹那だけ見られて生徒会全体が全てこういった人間なのではと思われてはあまりに腹立たしい。自分の片割れはいたって普通だというのに。
「今回は何を買ったの?」
「エクシア、デュナメス、キュリオス、ヴァーチェ、ナドレの五機だ。どれもHGで統一した。MGはまた後日に買いに行く予定にしている」
「…分かったような分からないような」
「つまり、今回は少し小さめのガンプラだが、次に買いに行くときはもう少し大きめのを買うということだ」
「…あぁ!成る程、そういうことなんだね」
「そういうことだ。流石にその上を買うには資金を貯めなければならないが…」
ガンダムのことになるといつもと比べて明らかに饒舌になる刹那に呆れつつ、ハレルヤはそろそろ話に飽きてきた。ガンプラに自分は刹那ほど入れ込むことは出来ないし、そもそも入れ込むつもりもないのだし、当然と言えば当然だろう。
あとそれと、自分にはアレルヤほどに人付き合いの良さも無いのである。どうでも良いと思えば瞬間に興味は消える。
そろそろアレルヤを引っ張ってこの場を離れようかと画策している間に、刹那がバッグを下ろして本当に五つ入っていた箱の中から一つを取りだし、アレルヤに渡した。
「やる」
「え…良いの?」
「構わない。それはキュリオスのガンプラだ」
「うわぁ…ありがとう、刹那。けどそういえば、さっき挙げた名前って寮で飼ってる猫たちと同じじゃない?」
「当然だ。そこから持ってきた」
そういえば、猫の名付け親は刹那だったか。
どこか誇らしげに見える刹那は放っておくとして、と、ハレルヤはアレルヤのガンプラの箱を持っていない方の腕を掴んだ。もうこの場に残っている理由はどこにもないだろう、こうなれば。
「部屋に戻るぞ」
「あ、うん。じゃあね、刹那」
「あぁ。キュリオス、出来たら見せてくれ」
「分かった。約束だね?」
ニコリと微笑んでアレルヤは手を振って、それから自分と一緒に歩きながら、楽しそうに刹那から受け取った箱を眺めていた。
「僕、ガンプラって作ったこと無いんだけど…上手く作れるかな?」
「さぁな。ま、せいぜい頑張ってみれば良いんじゃねぇの?」
「だね。刹那とも見せるって約束したし」
頑張らないと、と隣で片割れは酷くやる気になっているようだった。
打ってる間にクかグか分からなくなってきましたが、もうそれは放置の方向で決定しました。