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この場所に終わりはあるのだろうかと、休憩をしながらふっとキュリオスは思った。
先ほどからずっとずっと、歩いているけれど出口らしい場所は見つからない。入り口らしい場所も見つからないし、つまりは外界に繋がっている場所が見つからないのだ。
どういう事なのだろうと、体を休めながらも考えてみる。
それくらいしか、することがないのも事実だから。
……そう言うことが有り得るかと言えば、答えはきっと是だ。自分たちが生きているのはきっと、あまりに広すぎて全体を把握できないような場所だから。鍵をなくしてしまった小箱の中のような場所が無いとも限らないだろう。
では何故自分たちがそういう場所にいるかと言えば、それはふたが開いてしまったからに他ならない。それ以外に理由なんてあるわけもない。
そういうことだって、きっと有り得る。
では、この場所はどのような場所なのだろう。
そう考えて見、ふっと浮かぶことがあった。
「……そういえば、なんだけど」
「何ですぅ?」
「ずっと歩いてるけどお腹は空かないよね…?」
「そういえばそうです……疲れはたまるのに不思議ですぅ!」
そう、確かに疲れはするのだ。けれど、空腹は感じない。
変な話だと、キュリオスは首を傾げた。
「それって、この場所についての考察の手がかりにならないかな…?」
「分からないです……ハプティーズさんがたはどう思うでうすか?」
「ハプティーズって何だハプティーズって」
「いや、ハレルヤ…そこは後で突っ込むべき箇所だと思うよ?」
「あ?」
「今はキュリオスの言葉を考えないと」
「ってもよ」
くるりと辺りを見渡すように頭を巡らせてから、ハレルヤはどこか呻いているように言った。
「そんなんを手がかりに何を考えろって?」
「……それはそうだけどね?少しは考えてみようよ、ね?」
「面倒だから嫌だ」
「……ハレルヤ」
「俺は寝るからお前らで何か考えとけよ」
ふぁあと欠伸をして、それから……ハレルヤは、本当に寝そべって目を閉じた。この白い空間には砂も汚れもないから、寝そべっても汚れたりしないからこその行動だろう。汚れる心配があったとしても、彼の場合は頓着せずに寝そべりそうな気がしたけれど。
そういう所、アリオスに似ていると本当に思う。
半身も、そういう頓着はしないタイプだから。他にも探せばきっと、ハレルヤとアリオスには共通点がたくさん見つかるだろう。
これが一番不思議かもしれないと、キュリオスは音を閉じたハレルヤの顔を眺める。全く似ていない半身とハレルヤなのに、何だかとてつもなく似ているような気がする、そのことがとっても。
「とりあえず、特殊な空間なのは分かるんだけどね…」
「それは初めから分かってるですよ」
「うーん……そう言われると何ともねぇ…」
二人のそんな話を聞きながら、議題の提示者でありながらキュリオスが思うのは、もう既にこの場所に着いてではなくアリオスについてだった。
彼は直るのだろうか……直らないのだろうか。
分からなかったが、直ればいいと思う。
願うだけで直ってくれればいいのに、と、ふと思った。