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フラン君の事はもっと色んな感じで書いてみたい…あの毒舌は素晴らしいので。
040:わたしはただ
資料室で、珍しいのを見つけた。
ワザと気配を絶って後ろに回り込み、ベルフェゴールはドンとカエルの被り物を被っている後輩の背を叩いた。
「フランー、お前何やってんの?」
「ベル先輩ですかー。いえ、ちょっと調べ物ですー」
「ふぅん…何調べてんの」
「トップシークレットですのでお答えできませんー」
苛つく返答が帰ってきて、ふっと視線を下に向けると、フランが向かっていた机の上にある数枚の紙切れが目に入った。それから書いてある内容も、目をこらす必要なくどのような物なのか読み取ることが出来た。これでも視力は良い方だ、多分。
そして、それが何なのかをしっかりと理解した瞬間、ベルフェゴールは黙って懐からナイフを取り出していた。
「お前さー、何調べてんの本気で」
「いえ、ベル先輩は王子だと聞きましたのでー。ですから、王子撃退法を童話の中から探してたんですよー…あ、でも堕王子相手に正攻法は効かないでしょうかー」
「ぶっ殺す」
「怒んないでくださいベル先輩。ミーはただですねー、身の安全を自分で守るために、こうやって調べ物をしていただけなんですからー」
そんな滅相もありません、とでも言いたげな様子でフランは手を振って見せ、その弾みに『王子撲滅法』と銘打たれた紙の下の、別の事柄が書いてある紙が出てきた。
「…こんなんどこから調べてきたんだよ」
「探せばわりとありますよー、参考文献」
「……お前、実はってワケでも無さそうだけど、ヒマ?」
「いいえー。これはミーの身の安全をこれから保証できるようにするための、大切な大切な第一歩なのですー」
「ま、間違っちゃいねーけど」
下から覗いたのは『オカマ撃退法』だとか、色々。
そんなの調べなくっても、そのうち自然と慣れるかあしらい方を覚えるのにと思いながら、まぁ別に教えようなんて思いもしないけどとも思う。
何故なら、王子だからである。
王子が下々の人間の安否を、まさか気にするワケもない。
果たして本当にオカマ撃退法があるかは置いておいて。
王子の場合は童話の中から…って、童話の中で王子が大変なことになる話って、そんなに無いのでは。