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SEED組の皆。ちゃんとアカツキもいるんですよ。
この人たちも結構好きなんだよね。というかフルカラーはみんな大好きだけどさ。
37:汽車
「…これは放っておいても大丈夫なのかな」
「私に訊くな、私に。むしろ私が知りたい方だぞ」
「ですが…押しても引いても反応がないでござるよ?」
「てーかピクリとも動いてくれねーし」
「フン。放っておけばいいだろう、こんなヤツ」
「けどなぁ、これ放ってたらそのうち倒れないか?」
クーラーが壊れた部屋をのぞき込むようにして。
ストライクフリーダムたちは、部屋の真ん中においてあるちゃぶ台の上に色々と工具を広げて集中しきっているインフィニットの事を見ていた。
猛暑の襲ってきた今日この日。何と、その暑さのせいでコロニーの全クーラーが故障してしまったらしいのだ。こういう日にこそクーラーは必要であるというのに、何という悲劇だろうと思ったのが今朝。
そして今。今も朝なのだがそれは置いておいて。
何を思ったか汽車の模型を作り始めてしまったインフィニットを、ストライクフリーダム一同、誰も止めることが出来なかった。
「にしてもインフィニットってばあの集中力は凄いねぇ」
「いつものことだろ。そんなことより…オレはバクゥの散歩に行きたいんだがな」
「なら行けばいーじゃん?誰も文句いわねーと思うけど?」
どう、と軽くバスターが言うと、途端にデュエルが渋い顔をした。
「…この状況で行けとか言うのかお前」
「何だかんだで心配なら心配って言えばいいのに」
「いや、心配というよりはな」
ちら、と視線を黙々と手を動かす彼に向けてから、一言。
「放っておけばいいとは言ったが、実際に放っていると倒れそうな気が」
「倒れられたら寝覚めは悪いよね、確かに」
その点は自分も納得だ。その上、こちらの場合は本当に心配しているのもあるし。まぁ、何だかんだといって心配ではあるのだろう、デュエルも、バスターが言ったように。
うちわでパタパタと仰ぎながら、そういえば冷蔵庫の中にアイスは無かっただろうかなどと考えている間に、ルージュがすくっと立ち上がった。すると当然、部屋の入り口当たりで座り込んでいる自分たちの視線は彼女の方に向くわけで。
かき氷を持っていたルージュは、何かを決意したかのような表情をしていた。
そして。
「…ねぇルージュ、それは止めた方が良いんじゃないかな」
「だが、これくらいしないと正気に返らないだろう、アイツは」
「そう言う気持ちは分かるんだけどね…それはマズイよ。それで正気に返らなかったら反応に困ると思う、し」
「……それもそうだな」
視線があった一瞬で彼女が何をしようとしているのかを悟ったストライクフリーダムは直ぐに止めた。それから、流石にこれは問題かもしれないと思っていたらしいルージュも止まってくれた。ありがたいことだ。
だが、これで周りはワケが分からないと思ったらしい。
代表というわけではないだろうが、アカツキが軽く挙手をして口を開いた。
「ルージュ、何しようとしてたんだ?」
「いや、大したことではないんだがな」
十分に大したことだと思われるそれを、最初にそう前置いてから彼女は口にした。
「インフィニットの頭上からかき氷をかけてみようかと…思っただけだ」
「…ルージュ殿、今、大したことと前置きしたことを後悔したでござるな…?」
「あぁ…これは………大したことだな」
「だから止めたんだよー」
そうでなかったら止めなかったと思う。断言できる。
「ブリッツ、君には良いアイディア無い?」
「そうは言われましても…拙者にも現状打破の案は浮かばないでござる」
「だよね…」
「自然に正気に返るのを待てば?」
「バスター、それは無理だと思うぞ」
「自然に返るとしたら汽車が完成してからだろうしな」
「その間に倒れてるよなー、これ」
アカツキの言葉に一斉に頷く。
それ程までに、室温は高くなっていた。
「…ていうかさ、何でこんなご都合展開的にクーラー壊れてんの」
「それは…って、あ!インフィニット倒れた!」
「案の定か!デュエル、アカツキ!お前らが運べ!」
「どうして命令されねーといけねーんだ!」
「ほら、そんな突っかかってないで運びに行くぞ、デュエル」
クーラーが壊れているのはご都合展開故。諦めていただけたら嬉しいですね。