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この夫婦のことは書いてみたかったのです。
056:支え
「もう、どうしてまたこんな所で眠っているの?」
「んー…あぁ、奈々?」
「それ以外に誰がいるの」
ほら起きて、と奈々にせかされて、家光は渋々起き上がった。
「疲れてるんだけどな…」
「ならベッドで寝ないと。こんな所で寝たら、起きたときに体中が痛くなってるわよ?」
「うーん…それは困るな」
「そうでしょう?」
だからほら、と言われて、笑みを浮かべる。
本当に、平和な一時だと思った。別に本職に不満なんて無いし、むしろ誇りに思っているくらいだが……こういう、家族との穏やかな時間は格別だ。残念なことに今は一人息子は留守にしていていないのだが。
どうせなら全員そろえれば良かったんだがな、と考えながらビールの缶に手を伸ばそうとしたらピシャンとそれを叩かれた。
「…奈々」
「昼酒は体に毒です」
「少しくらい良いだろ?」
「あと数時間で夕食なんだから、そのくらい待ってくれても良いじゃない」
「それはそうかもしれないがなぁ…」
「ほら、やっぱりそうじゃないの」
思わず零してしまった賛同の言葉に、我が意を得たりと満足そうに奈々は笑い、ほらほら、と先ほど以上にせかして家光は立たされた。
「たまには一緒に外に出ましょうよ」
「何だ?俺は荷物持ちか?」
「不満なら運転手も付けるわよ?」
茶目っ気たっぷりにウインクする奈々に、家光はやれやれと肩をすくめた。
彼女のこう言うところに、自分は甘い。
「仕方ないか…よし、休日返上で付き合うさ」
でもそういえば、沢田家って車あるんだろうか…車庫、見あたらないような。
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