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扉の中には、小さな部屋。
その部屋の中に、もう一つの扉。
白い不思議な場所に入り込んでいたミレイナたちは、全員がその部屋の中に入っていた。誰か一人だけという案も出たのだが、さほど危険はないだろうとのアレルヤとハレルヤが判断したために全員で行くことになった。
そして実際、問題はなかったのである。
現に、こうして全員で部屋の家捜しをしている。
何故や探しをしているのか?答えは簡単だ。
鍵を探しているのである。
…扉を開いた先の小部屋の、その中にも扉があった。それは良いとしよう。良いとするのだが、しかし、そこで一つの重要にして根本的な問題に行き当たってしまったのである、自分たちは。
そう、扉には鍵が掛かっていたのだ。
となれば、鍵を探すほかに自分たちに出来ることはない。もしも鍵がなければそれまでだけれど、それが分からない以上は探し続けなければならないだろう。
「…見つからないですぅ…」
「ミツカラナイ!ミツカラナイ!」
「ですねぇ…ハロもHAROも頑張ってくださいですぅ」
「シャーネーナ!シャーネーナ!」
「感謝ですぅ…」
本当にありがたいと、ミレイナは思った。さっきから三十分ぐらい、ずっと探しているのだけれど鍵が見つからないのだ。
いや、一番の壁はそこではない。家捜しにおいての一番の問題は、三十分探しても探したり無いほどに、その部屋の中には探すべき箇所がたくさんあった事だろう。
部屋の大きさはそれほど大きくない。といっても、普通の家のリビングぐらいの大きさはあるのだけれど、それも五人と二人で入っては窮屈になってしまう物だろう。だからこそ『大きくはない』のである。
その上、壁に同化するようにとある壁の一面にビッシリとある棚。クローゼットもあったり、机も置いてあったり。その机にまで鍵が掛かっている引き出しがあって、鍵が見つかってもそれはこちらの物であったりもした。
まるで捜索ゲームのようだ。
いい加減に疲れてきたミレイナは、ため息を吐いた。
「これって終わるですか…?」
「微妙じゃねぇの」
答えたのはアリオス。彼は初めからローペースで行っていたから、今もまだ疲れてはいないようだった。ペース配分の上手さは流石だと何となく思った。同じような顔でも、キュリオスはあっという間にダウンしてしまったのに。
そんな人形は軽く欠伸をして、持ってきていた金属の入れ物のフタを開けた。それから舌打ち。何もなかったらしい。
「だいたいな、鍵がある可能性の方が低いってのに」
「けど、無かったらアウトですぅ」
「分かってるからやってんだよ」
そうでなかったら誰がやるかと、吐き捨てるように言ってアリオスは金属の入れ物をドアに向かって投げつけた。
木製に見えるそのドアは、壊れることなくそれを弾く。
「…あの扉、ぶっ壊したら良いんじゃねぇの」
「ダメだよアリオス。そんなことをしたら、場合によっては使えなくなるから」
「…分かってるッ!」
その言葉に。
果たしてそうだろうかと、ミレイナでさえ少し首を傾げた。