突発的仮想物語 2．食堂にて

ドラマCDっぽくって難しいと気付きました、ようやく。
…ちょっと目標だったのに。

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突発的仮想物語　２．食堂にて


　食堂とおぼしき場所で刹那は他のメンバーとも合流し、分かること、分からないことを整頓することになった。
「まず、ガンダムの名前が分からない」
「あぁ…そういえばそーだよな。ガンダムの存在は覚えてんのに」
「それに、こうなるまでの経緯も分からないんだよね」
「何気に分からないことだらけだな…」
「そうかな？私にはそれ程問題はないように思えるのだが」
「何をバカ…な………！？」
「何せ、少年のような青年のような少年に会えたのだから！」
　ぐ、と握り拳を作って天井を付くかのように上げた、その金髪の男の顔を見て刹那は本気で逃げ道を探した。そうだ、ここは仮想シミュレーター内だった。とりあえずこの男がいても何の不思議もなかったのだそう言えば。
　が、逃げ場などあるわけもない。食堂から出れば間違いなく追ってくるし、その時に人気のない場所に辿り着いてしまったら大問題だ。ここで、大多数の人間の目がある場所で安全を図るのが最もベストだろう。
　だから逃げ出したい気持ちをグッと堪えて、刹那は金髪の男を見据えた。
「お前もここで働いているのか…武士仮面」
「その通りだ、少年。あぁ、安心したまえ」
　警戒を解かない自分に、ふっと笑いながら彼は言った。
「今回は、君に構っている暇はない。それ以上に素晴らしい逸材を見つけたので、私は今回はそちらに付きっきりでいさせてもらおう。今回は」
「やけに今回今回続けるが…次はそうはいかないとでも言うのか？」
「その通りだ、眼鏡少年」
「めが……っ……ぼ、僕はティエリア・アーデだ！」
「ティエリア、秘匿義務とかどこ行ったの！？」
「あってないような物だったろう、もうあれは」
「いやでも今回ばかりは間違いなく必要だと思うんだけれど…適応されるよね、これ」
「されるんじゃねーの？」
　ふぁ、と欠伸をしながらハレルヤはどうでも良さそうに頷いた。
「てか、んな眼鏡放っとこうぜ、アレルヤ」
「え…でも」
「ハレルヤ・ハプティズム、いい加減に君は死にたいらしいな」
「あ？それはそっちじゃねぇのか？」
「ふ…二人とも落ち着いて！」
　火花を散らし出したティエリアとハレルヤを止めようとアレルヤが仲裁に入るのを見て、小さく息。絶対にあれでは止まらない。ティエリアは手に既に銃を持っているし、ハレルヤはいやに好戦的な笑みを浮かべている。止めたかったらもっとインパクトのある事でもしないと無理だ。
　流れ弾の心配をする必要があるだろうかと、去っていく武士仮面からはあえて視線を外しながら思う。いくらここが食堂で、自分たち以外の人間がいようと関係はない。ここはこの状況からして間違いなく仮想シミュレーターの中。人が何人死んでも関係はないし。
　仮に現実だったら、というのは無い。
　もしそうだったら、ここまで極端な記憶制限が全員に同様にかかるわけもない。
　ぼうっと食堂の入り口に目をやっていると、入ってくる色んな生徒。そういえばこの寮は生徒及び教師が両方とも使用している場所だったかと、上書きされている記憶を辿りながら納得する。
　そうして、そのまま何を考えるでもなくそのままでいると。
　ふいに、声がかけられた。
「あ…あの、席、開いてますか？」
　ちら、と視線をそちらに向けると、そこにはオレンジ色の髪の生徒がいた。確か…この学校は中学生を対象とする物だったから、彼も中学生なのだろう。長い髪は襟首の辺りで一つに括られ、そこから下は細いまま先の方まで纏まっていた。
　それと、オドオドとした様子。
　気弱なのかと、直ぐに分かった。
　そんな相手を怖がらせるのは本意ではない。薄く笑みを浮かべて椅子を引いた。
「…構わない」
「他のヤツらいなくなっちまったからな。気にすることはねーよ」
「あ…ありがとうございます」
　ぺこ、と頭を下げて、手に持っていた少量の朝食をテーブルに置いてから椅子に座り、その生徒はまずは、とパンに手を伸ばした。
　…のは良いが。
「量はそれで足りるのか？」
「大丈夫です…僕、あまり食べないから」
「いや、でももう少しくらい食った方が良いと思うぜ？貧血とかで倒れそうだろ…えっと…名前、何て言うんだ？」
　ライルが尋ね、あ、とその生徒はパンを口に運ぶ手を止めた。
「僕の名前、ですか？」
「そ。知らないと困るだろ？」
「あ…その、僕は、アリオスって言います」

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とりあえずマイスターと機体さんたち（精神体…というか心そのもの、みたいな状態だけど。）に触れ合ってみて欲しいらしいです。