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何が起こったかと言いますと。
そんな感じのお話です。
44:洋ナシ
「さて」
現状。
何か、とてつもないことになっているんですが。
「…どうしたら良いんだろ、コレ」
「ですね…分からないですね…」
アレックスの同意を受け、ガンダムはハァと息を吐いた。
全く、どうしてこんなことになったのだろう。マントを着けたり剣を持ったり盾を持ったりしている自分を見下ろして、思う。
本当に…何がどうなって。
まぁ、原因はハッキリしているのだ。『こちら』に来てから直ぐにギャンに説明を求めており、彼は最初は渋りこそすれきちんと教えてくれたので。最初から素直に言えば良かだろうに、渋ったりするから短気な皆さんに半殺しの目に遭うのだ。
足下に転がっている魔術師風なギャンには視線を向けず、魔王っぽいシャアを見やる。
「お前倒したらゲームクリアって事で戻れるかな」
「無茶を言うな。ギャンが言っていただろう、ここはクリア後の世界だと」
「そうよ、ガンダム」
ララァが…正確には、魔王シャアが持っている綺麗な色の宝玉が言った。
「今は、争うときではないわ」
「…ララァさんが言うなら、仕方ないか」
「お前、本気で倒す気だったんか」
「だってぇ、こう言うときくらいじゃん?シャアを亡き者にする機会ってばさ」
「本ッ当に私のことが嫌いなんだな、お前」
「え?今更?」
にこ、と微笑んでやると、相手もにっこりと笑った。
「いいや?常識以前の問題だったな」
「なら始めっから訊かなくても良いと思うんだけど?」
「そう言うな。たまには確認をしないと分からなくなるだろう?日頃のお前は暢気すぎてどうしようもないからな」
「またまた。シャアだって腑抜けてるくせに」
「はっはっはっは」
「あはははははは」
「…お兄さんたち怖いです」
和やかに笑い合っていたのだがアレックスに引かれてしまい、ガンダムはシャアの事を肘でつついた。人間の姿を取っていて、肘や膝が出来たことはとてもありがたいと思う、こう言うときは。
「お前のせいだぞ、シャア。変な笑い方するから」
「それはお前の方だろう。私はまだまだまともだ」
「…へぇ、そんなこと言うんだ?」
「こちらのセリフだな、それは」
「二人とも、だから争ってはダメ」
宝玉ララァがそう言って、そうだわ、と人の姿をしていたら手を打っていたような声を上げた。
「じゃあ、こうしましょう。近くに街があるから、そこから先に果物を買ってきた方の勝ち。ちなみに今は洋ナシが食べたい気分だわ」
「分かりましたララァさん!行ってきます!」
「待ってくださいお兄さん!お財布がないです!」
「…へ?」
宝玉なのにナシが食べられるのか、という根本的ツッコミを忘れたまま行こうとしたガンダムを止めた、アレックスの言葉に思わず首を傾げる。ここはクリア後のゲームの世界と言うものだから、金ぐらい有り余っているくらいあるのではないかと思っていたのだが。
その考えを伝えてから、違うの?と問い返すと、はい、と肯定が返ってきた。
「お財布はあるんですけど…10Gしか無いんです」
「つまり…お金は初期に戻ってる、と?レベルは?もしかして…そっちもとか」
「心配いらんだろう、それは。一応クリア後なのだしな。それに私もいる」
「あーそっか、シャアって魔王なんだ」
「ラスボスだからな、強いはずだぞ」
「それに私もいるわ。私、どうやらみんなに力を与えることが出来るみたいなの」
「あ、お兄さん、それにですね」
「アレックスも何か?」
「はい。私、召喚術師みたいなんですけど…呪文、ちゃんと読めるんです。変な文字で書いてあるのに」
「そうなんだ…けどまぁ」
ちら、と後ろの方を見て、呟く。
「召喚さ、出来ても出来なくても変わらないんじゃない?」
「ですよねぇ…」
ガンダムたちの後ろには、他の皆さんもしっかりといたりする。そして、その中に短気な皆さんもいたりするのである。
つまり。
RPG編突入です。