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前回に引き続いて、今回も十年後の綱吉が撃たれる前…
060:決まり事
「京子ちゃん、一つ約束して欲しいんだ」
「…え?」
「とっても大切なことなんだ」
真っ直ぐに京子の目を見て、綱吉は言った。
「俺が死んでも、泣かないで、恨まないで」
「…ツッ君?」
「……お願い」
「ハルちゃんにも、そう言うの?」
「…そう、だよ」
後ろめたく感じながら、それでも綱吉は頷いた。
酷いことを頼んでいるとは思う。思うけれど、それでも頼みたかった。『彼女たちが泣くんじゃないだろうか』と、そう思うだけでもしかしたら……全ての行動を、止めてしまうかもしれなかったから。
仲間たちだってそうだけれど、多分、言いに行ったら殴ってでも止められかねないので言えない。その点、彼女らは……なんて思っている時点で、自分がどれほど非道い人間かが分かってくるようなものだ。
けれど、やっぱり彼女たちには泣いて欲しくないから。
こんな何も出来なかった人間のために、泣く必要なんて無いから。
自己満足だって言われても良い。
これは、最後の我が儘だ。
「…嫌」
「京子ちゃん、」
「私は泣く。ツッ君がなんと言っても、ツッ君がいなくなったら悲しいもの。だから泣くよ、ツッ君」
「…だよね」
「ハルちゃんも同じことを言うよ。だから、ね?」
「…うん、分かった。言いには行かない」
綱吉は苦笑した。最後の最期の頼み事は、受け入れてもらえなかったようだ。
結局、十年後ってどうなってるかが分からないんですけどね…。
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