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骸はやっぱり過保護だと良い。
061:嘆きのうた
「おやおや、大変悲しげな表情をしていらっしゃいますね」
「貴方は……」
「お久しぶりです、と言うべきでしょうか?」
そう言って、彼はオッドアイを軽く細めた。
「ところで、どうしてそのような表情をしているのです?」
「…何で、そんなことを訊くの?」
「何故って、クロームが心配しているようでしたから」
「クロームちゃんが…」
「えぇ。ですが、彼女は切り出せないようですね。心当たりはあるようなのですが、あるからこそ言い出せないようです」
全く、難儀な話ですね、と骸は肩をすくめた。
きっと、彼はそんな感情とは無縁なのだろう。縁があったのだとしても、京子を気遣う筋合いなど無いに違いない。自分と彼とは、そんなに交流があるわけでも何でもないのだから、当然と言えば当然だが。
「それで、どうしたんですか?」
「…貴方には心当たりは?」
「ありますが、貴方の口から聞く方が分かりやすくて良い」
「……」
「さぁ、どうしたんです?」
「…コロネロ君が…」
「あのアルコバレーノですか」
「……いなくなって…」
「死にましたね」
軽い調子で続けられる言葉に、京子は何と言って返せばいいのかが分からなかった。何かを言って返すべきなのかさえも分からない。それ程までに、軽い。
そんな彼は、ありがとうございました、とさほど心のこもっていない言葉を紡いだ。
「では、これから用事がありますので」
「用事…?」
「貴方は知らなくて良いことですよ」
では、と一礼して、彼はいなくなった。
用事は多分『仕事』とかそういう系。
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