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アニメ沿いです。マーモン出発前、的な。
「アルコバレーノの試練?」
「そうなんだよ」
思わず聞き返すと、マーモンはとても面倒そうに頷いた。
「全く……どうしてそんなことをしないといけないのやら。給料も特別ボーナスも出ない、しかも金の動きがあるとしたらマイナスの物しかないなんて。ぼったくりも良いところの役割だ世本当に…」
「…大変だなぁ」
それは、マーモンにとっては大問題だろう。
何せ、マーモンは守銭奴と言われて褒め言葉と受け取るような赤ん坊なのである。それが、報酬無しの、しかも金を奪われてしまうような役割を担うとなると。
やっぱり、嫌だろう。
納得して、スクアーロはポンとマーモンの頭に手を乗せた。
「まぁあれだぁ……頑張ってこい」
「やだ」
軽く拒否されてしまった。
別に傷つかないが。
このくらいは普通に想定内だ。
「無報酬だよ?頑張らないで適当に手を抜いてとっとと役目を果たして帰りたいよ、僕としてはね。ダメかな?」
「そりゃ気持ちは分かるけどなぁ…」
「マーモン、ならさ」
と、今まで黙っていたベルフェゴールが口を開いた。
にぃ、とどこか楽しそうに、愉快そうに。
「あれだよ。試練とか無視して役目だけ果たせば良いじゃん」
「…そんなことをしたら後が怖いから嫌だね」
「お前でも怖いって言うんだな」
「言うさ、スクアーロ。だって、そんなことをしたらリボーンやコロネロだけじゃなくって、ラルまでやって来かねないからね。流石に…それはちょっと多い」
「そういや、アルコバレーノって『最強の七人』だっけ?俺らの方が最強なのに」
「でも七人じゃないでしょ。…とにかく、そういうこと」
何が何でも、試練を含めてやって来ないといけないらしい。
中々に難儀な事だと思いつつ、そういう事情なら仕方ないのかも知れない。ヴァリアーで考えたら、仕事をさぼった後に戦闘態勢のマーモン、ベルフェゴール、そしてザンザスがスタンバイしているような状況だろう。
……これで生きて帰れたら奇蹟では無かろうか。
それよりは少しくらいはマシだろうと思いながらも、さほど想像が当たってないことを確信するスクアーロは、試練に関してはもう何も言えなかった。
代わりに。
「んじゃこうしようぜぇ」
「…?」
「マーモンが仕事を終えたら、何かお前が欲しい物買ってやる」
「…本当!?何でも!?いくつでも!?」
「や、一つだ一つ。あと値段の上限はきっちり決める」
じゃないととんでもない物を吹っかけられそうだ。
しかし……まぁ、ただ働きではないと言うだけで、充分にマーモンは満足したらしい。先ほどよりは格段に上機嫌に、それでも少しまだ不機嫌そうではあったが、ちょこんと机の上で立ち上がった。
「約束だからね、スクアーロ」
「おう」
「マーモンだけずるいんだー。……ほら鮫、王子もお前に貢ぎ物を渡す機会をやるから何か買え」
「はぁ!?関係ねぇだろ!?」
「あるんだよ!王子があると言ったら有る!」
何だかよく分からない理論だったが、それに仕事をするわけでもないベルフェゴールに何かを買ってやるような義理もないのだ、が。
どうやら何かを買わないと収まらないようだ。
仕方なく了承した。
「よっしゃ!」
「嬉しそうだなお前…んでマーモン、お役目いつまでやんだ?」
「分からないけれど。終わったら直ぐ帰る」
「しばらくメシとかいらねぇってことだな?」
「そうだね。あとボスにも言づて頼むよ」
「分かったぜぇ。んじゃ行ってこい」
「うん、行ってくるね」
こくりと頷いて、そしてマーモンはあっという間に、消えた。
試練を行うべく移動したのだろうと予想づけて、スクアーロは立ち上がった。このことをザンザスに伝えに行かなければ。
この後、ベルも付いていくんだろうな…。